老後資金
  • 公開日:2024.9.11
  • 更新日:2024.9.11

小規模企業共済とは?加入資格やメリット・デメリットを解説

小規模企業共済とは?加入資格やメリット・デメリットを解説

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この記事では、小規模企業共済の概要についてみていき、加入資格やメリット・デメリットを解説します。これから小規模企業共済に加入するか検討中の人の参考になります。

この記事の要約はこちら

・小規模企業共済は小規模企業や個人事業主のために設けられた退職金制度
・掛金の全額が所得控除になり、節税が期待できる
・小規模ではない事業主は加入できない
・終身保険でまとまった資金を準備するのも選択肢の1つ

個人事業主の場合は会社員とは異なり退職金がありません。

加えて、年金についても一階部分にあたる国民年金のみとなるため、老後資金について不安に感じる人も多いはずです。

そのため、退職金の代わりとなるような資金の準備を独自で進めていくことが重要になるでしょう。

個人事業主の人が退職金や老後資金の準備を進める上で、有効な手段となるのが小規模企業共済です。

小規模企業共済は掛金が所得控除になるなどの多くのメリットがあります。

しかし、一方で気をつけなけれなならない注意点もあるため、きちんと理解した上で加入することが大切です。

この記事では、小規模企業共済の概要についてみていき、加入資格やメリット・デメリットを解説します。

ぜひ参考にしてください。

小規模企業共済とは

「小規模企業共済」とは小規模企業や個人事業主(フリーランス)のために設けられた退職金制度です。

毎月一定額を積み立てていき、廃業や退職時に掛金に応じた共済金を受け取る仕組みです。

小規模企業共済には加入資格などが定められているため、加入できるのは該当者のみとなります。

次項で小規模企業共済の加入資格や掛金について解説していきます。

加入資格

小規模企業共済は、小規模企業の経営者または役員、個人事業主(フリーランス)に限定されている制度です。

加入資格については以下の要件に該当する必要があります。

  • 建設業、製造業、運輸業、不動産業、農業、サービス業(宿泊業、娯楽業に限る)などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社の役員
  • 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社の役員
  • 事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員や常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
  • 常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
  • 常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人などの士業法人の社員
  • 上記1、2に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)

このように、小規模企業共済は従業員が20人以下の企業でなければ加入できない制度です。

その他にも、非営利団体(NPO、学校、宗教)や生命保険外交員なども加入できません。

参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構

小規模企業共済の掛金

小規模企業共済の掛金は、事業主の要望に合わせて柔軟に設定できます。

掛金の範囲は1,000円から7万円で、500円単位で調整が可能です。

これにより、経営状況や資金繰りの変化に応じて掛金の増減を柔軟に行えます。

また、掛金の支払い方法については、預金口座振替による「月払い」「半年払い」「年払い」の選択肢の中から選択できます。

加えて、掛金の前納制度も設けられており、前納を選択した場合には、一定割合の前納減額金が適用されてコスト削減にもつながります。

参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構

小規模企業共済のメリット

ここからは、小規模企業共済のメリットについて解説します。

主なメリットは以下のとおりです。

小規模企業共済のメリット

・掛金の全額が所得控除
・掛金を柔軟に調整できる
・受取り方法は一括と分割から選べる
・低金利の貸付制度を利用できる

 

以下で順にみていきましょう。

掛金の全額が所得控除

小規模企業共済の掛金は全額所得控除の対象となり、所得税などの節税が期待できます。

所得が高い人ほど節税効果が高まるため、ある程度売上が見込める個人事業主の人や、比較的高収入の人は活用する価値があるでしょう。

たとえば、小規模企業共済として毎月5万円を積み立てる場合、年間60万円が所得控除となります。

仮に所得金額400万円の人がこの制度を利用した場合、18万2500円の節税が見込まれます。

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画像引用:共済サポートナビ 小規模企業共済制度のしおり

そして、給与所得者の場合は年末調整で、個人事業主の場合は確定申告によって所得控除の適用を受けます。

掛金を柔軟に調整できる

前述のとおり、小規模企業共済は掛金を1,000円から7万円で、500円単位で調整できます。

そのうえ、加入後も掛金の増減を自由に設定することが可能なため、売上が多い年は掛金を増やし、売上が減少した年には掛金を減らせます。

とくに個人事業主の場合は年間の売上が変動しやすいため、掛金の細かな調整ができるのは大きなメリットといえるでしょう。

受取り方法は一括と分割から選べる

小規模企業共済の受取りは「一括」と「分割」「一括と分割の併用」から選ぶことができ、それぞれ受取時に税制優遇が設けられています。

「一括」の場合は退職金扱いとなり、退職所得控除が適用されます。

一方の「分割」の場合は公的年金等控除が適用されます。

「一括と分割の併用」を選択した場合、一括部分は退職所得控除が適用され、分割部分に関しては公的年金等控除が適用される仕組みです。

受取方法 適用される控除
一括 退職所得控除
分割 公的年金控除
一括と分割の併用 一括部分:退職所得控除
分割部分:公的年金等控除

税金面を優先する場合は一括受取がおすすめです。

もし、一括として受け取る場合、勤続年数(加入期間)が20年を超えていれば、以下の計算式で最終資産額から控除できます。

【退職所得控除の計算式(20年超の場合)】
800万円+70万円×(勤続年数)-20年)

たとえば、小規模企業共済に30年間加入した場合の「退職所得控除」は800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円となります。

仮に、掛金総額が1,500万円以下であれば控除後の所得はゼロになるため、税金はかかりません。

低金利の貸付制度を利用できる

小規模企業共済には次のような貸付制度が設けられています。

小規模企業共済で利用できる貸付制度
・一般貸付(事業資金)
・緊急経営安定貸付
・傷病災害時貸付(病気の時など)
・福祉対応貸付
・創業転業時・新規事業展開等貸付
・事業承継貸付
・廃業準備貸付

 

これらの貸付は比較的低金利で借入れすることが可能です。

たとえば、一般貸付の場合は貸出金利1.5%に設定されています。

事業を進めていくなかで、売上減少や資金繰りの圧迫などの課題に直面することも少なくありません。

しかし、これらの貸付制度を利用することで財務状況が安定し、経営の柔軟性を高められるでしょう。

小規模企業共済のデメリット

小規模企業共済のメリットについて解説していきましたが、一方で気をつけるべき注意点も存在します。

ここからは、小規模企業共済のデメリットについて解説します。

今日規模企業共済のデメリット

・加入期間が12ヶ月未満で解約すると掛け捨てになる
・加入月数が20年未満で解約すると掛金合計額を下回る
・共済金の受給は課税対象となる
・リターンが低い
・規模が大きいと加入できない

 

加入期間が12カ月未満で解約すると掛け捨てになる

小規模企業共済は、加入期間が12カ月未満の場合は掛け捨てとなり、解約手当金(掛金)は返ってきません

そのため、加入する場合は、無理のない掛金設定が重要になります。

もし12カ月以上きちんと掛金を支払っていけるか心配な場合は、掛金を最小の1,000円に設定し、12カ月以上経過したあとに、増額していくとよいでしょう。

加入月数が20年未満で解約すると掛金合計額を下回る

加入月数が20年未満で解約すると、掛金合計額を下回ってしまいます。

ただし、この規定は自己都合による任意解約や、12カ月以上の掛金滞納による機構解約の場合に限ります。

法人の解散や、役員が病気やけがで退任するといった特定の事情による解約では共済金の元本割れは発生しません。

小規模企業共済は節税効果があり、銀行口座に預けておくより効果的に運用できる商品です。

しかし、その一方で長期間加入しなければ元本割れを起こすリスクがあるため、加入する際は自身の事業計画や財務状況に合った掛金に設定することを心掛けましょう。

共済金の受給は課税対象となる

受取れる共済金には税制優遇が設けられているものの、適用される控除額を上回った場合は課税されてしまいます。

共済金を受け取る際には、あらかじめどの程度の税金が生じるかを理解しておくことが重要です。

なお、繰り返しになりますが、税制優遇を優先する場合は一括受取を選択し、退職所得控除を利用するとよいでしょう。

リターンが低い

小規模企業共済の予定利率は1%と、銀行口座に預けるよりも魅力的ですが、株式や投資信託といった金融商品と比較した場合にリターンは低くなってしまいます

資産運用でのリターンは、概ね2~8%といわれているため、より効率的に資金を活用したい場合は小規模企業共済よりも、金融商品で運用したほうがよいかもしれません。

出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構 小規模企業共済制度の令和6年度付加共済金の支給率について

規模が大きいと加入できない

小規模企業共済は、名前のとおり、小規模な事業を運営している経営者などを対象にした商品のため、一定以上の従業員数に達してしまうと加入できません

業種によって人数制限は異なりますが、通常、5名以下や20名以下で設定されています。

ただし、加入後に従業員数が増加しても継続して加入できます。

そのため、事業を拡大する前に加入すべきかどうかきちんと計画を立てることが重要です。

小規模企業共済への加入方法

ここでは、小規模企業共済への加入に必要な書類や手続きの流れを詳しく説明します。

「加入に必要な書類」

加入に必要な書類は、加入者の状況(個人事業主、法人の役員、共同経営者)によって異なります。

小規模企業共済への加入に必要な書類
共通で必要な書類 ・契約申込書
・預金口座振替申出書
個人事業主 確定申告書の控え
法人の役員 役員登記されていることが確認できる書類
(履歴事項全部証明書など)
共同経営者 ・個人事業主の確定申告書の控え
・共同経営契約書の写し
・報酬の支払い事実が確認できる書類

「手続きの流れ」

小規模企業共済の加入手続きの流れは、以下のとおりです。

1.必要書類の入手
2.書類の記入
3.中小機構が業務委託している団体または金融機関の窓口へ提出
4.中小機構からの書類の受け取り

書類の提出後、約40日後に中小機構から「小規模企業共済手帳」および「小規模企業共済制度加入者のしおり及び約款」が送付されます。

小規模企業共済以外で個人事業主が加入できる制度

ここまで小規模企業共済の解説をしてきましたが、将来の老後資金などを準備する方法は他にも存在します。

ここからは、個人事業主が加入できる他の制度についても紹介していきます。

小規模企業共済以外で個人事業主が加入できる制度
・iDeCo
・終身保険

 

iDeCo

iDeCoの正式名称は「個人型確定拠出年金」といい、老後の生活資金を準備するための私的年金制度になります。

公的年金とは別に、自身で掛金を拠出し、60歳以降に老齢給付金として受け取ります。

公的年金とは異なるため加入は任意です。

iDeCoに加入するメリットは次のとおりです。

iDeCoに加入するメリット

・掛金が全額所得控除になる
・受取時に税制優遇がある
・比較的リターンが高い

 

小規模企業共済と同様に掛金が全額所得控除になり、受取時にも税制優遇が設けられています。

加えて、iDeCoの場合は小規模企業共済と比較して高いリターンが期待できます。

ただし、iDeCoは金融商品を取り扱うため、元本保証がありません

また、原則60歳まで掛金の換金ができない点に注意が必要です。

終身保険

老後資金などの準備には、終身保険を活用することも有効です。

終身保険とは、保険料が掛け捨てにならない貯蓄型の保険で、保障が一生涯続く特徴があります。

そのため、多くの人に資産形成として利用されています。

終身保険で準備するメリットは次のとおりです。

終身保険で準備するメリット

・万一の場合の保障がある
・生命保険料控除がある
・解約のタイミングを自身で決められる

 

終身保険は契約者に万一のことがあった際に保険金が支払われるため、家族に確実に資金を残せます

加えて、終身保険は積立が終了したあとも据え置きすることが可能であり、据え置き期間が長くなればその分、返戻率も上がり、将来受け取れる解約返戻金が増加していきます。

また、最大4万円の所得控除が適用され、所得税などの軽減が期待できるでしょう。

ただし、終身保険も早期で解約してしまうと元本割れを起こしてしまうため、家計を圧迫させない範囲の掛金設定で加入することが重要です。

終身保険については、こちらの記事で詳しい解説をしています。
終身保険に入るベストなタイミングはいつ?メリット・デメリットも解説

資産形成のお悩みはFPに相談!

「小規模企業共済」とは小規模企業や個人事業主(フリーランス)のために設けられた退職金制度です。

毎月一定額を積み立てることで、廃業や退職時に、掛金に応じた共済金を受け取れます。

小規模企業共済のメリットは、掛金の全額が所得控除になることや、掛金を柔軟に調整できることです。

一方で、12カ月未満で解約すると掛け捨てになってしまうことや、20年未満で解約すると掛金合計額を下回るといったデメリットがあります。

もし、小規模企業共済以外で準備をしたい場合はiDeCoや終身保険を検討するとよいでしょう。

とくに終身保険の場合は万一に備えながらも将来の資金計画を進めていけます。

もし、終身保険について詳しく知りたい場合は、お金の専門家であるFPに相談することをおすすめします。

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