不動産
  • 公開日:2025.11.26
  • 更新日:2025.11.26

退去時のクリーニング費用で揉めないために|貸主が押さえるべきガイドラインと特約

退去時のクリーニング費用で揉めないために|貸主が押さえるべきガイドラインと特約

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退去時のクリーニング費用を徹底解説。国交省・東京都ガイドライン、特約の有効性や相場、貸主が注意すべき契約ポイントを紹介。

この記事の要約はこちら

・退去時のクリーニング費用はトラブルになりやすく、国交省や東京都のガイドラインで「通常損耗は貸主負担」「故意・過失は借主負担」と基本ルールが定められている。
・原状回復とクリーニングは目的が異なり、修繕は貸主負担、清掃は借主負担となる場合があるため、区別して理解することが重要。
・契約書に特約があれば有効になるケースも多いが、合理性を欠く一方的な条項は無効とされる可能性がある。
・費用相場はワンルームで2〜3万円、ファミリータイプで5万円以上が目安で、水回りやエアコンなどは追加費用が発生しやすい。
・トラブル防止には契約時の明確な説明が欠かせず、万が一争いが起きた場合は国民生活センターや宅建協会、法テラスなど専門機関に相談するのが有効。

賃貸物件の退去時に発生する「クリーニング費用」は、オーナーにとっても注意すべき重要なポイントです。

請求額が妥当でないと入居者とのトラブルにつながり、スムーズな退去や次の入居者募集に影響を及ぼす可能性があります。

国土交通省のガイドラインでは、通常の使用による汚れや経年劣化は貸主負担とされる一方、故意や過失による損耗は入居者負担と明確にされています。

しかし、契約書の特約や説明不足によって認識のズレが生じ、不当請求と受け取られるケースも少なくありません。

本記事では、退去時クリーニング費用の相場や負担区分、トラブルを未然に防ぐための契約時の工夫、さらに立ち合い時の注意点をご紹介します。

退去時クリーニング費用とは?

賃貸住宅を退去するときに必要になる清掃費用が、一般的に「退去時クリーニング費用」と呼ばれます。

原状回復と混同されやすいので、それぞれを正しく理解しておくことが大切です。

通常、この費用は入居時の状態に近づけるための清掃を指しますが、退去時のリフォームや修繕費用を含むわけではありません。

目安としては、日常生活の範囲内で生じる自然な汚れは貸主が負担し、明らかに通常以上の汚れは借主負担となります。

ただし、契約書で特約が設けられている場合や、物件ごとの事情によって費用の区分は変わります。

退去時に慌てないためにも、あらかじめ契約書の確認や必要な掃除方法の見直しをしておくと安心です。

原状回復とクリーニングの違い

原状回復とは、壁紙や床など建物の機能や見た目を入居前の状態に近づけるための修繕を指します。

一方で、クリーニングは入居中の生活によって生じた汚れを落とし、室内を清潔に整える作業のことです。

つまり、原状回復は破損や劣化の修復が目的であり、クリーニングは衛生的な環境を整えることが目的といえます。

国土交通省のガイドラインでも両者は明確に区別されており、通常使用による汚れは修繕費用とは分けて考える点を理解しておくことが大切です。

国交省ガイドラインで定められている基本ルール

国土交通省のガイドラインでは、入居者に責任のない通常損耗や経年劣化については、貸主が負担することが原則とされています。

たとえば日常使用による壁紙の日焼けや設備の自然な劣化はオーナー負担です。

一方で、入居者の故意・過失による破損や汚れは借主負担とされるケースが多く、たとえばタバコのヤニ汚れやペットによる傷などは明確に請求できる範囲に含まれます。

ただし、どこまでを借主に請求できるかは事例ごとに判断が分かれることもあります。

そのため契約時には、適切にルールを定め、事前に入居者へ説明しておくことで、退去時のトラブルを未然に防ぎ、円滑な賃貸経営につなげることができます。

参考:国土交通省 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について

東京都の賃貸住宅トラブル防止ガイドラインのポイント

東京都では、退去時のクリーニング費用や原状回復の費用負担をめぐるトラブルを防ぐために、独自の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」を策定しています。

このガイドラインは法的拘束力こそありませんが、国交省の基準に加えて具体的な事例や判断基準が示されており、オーナーにとって実務上の参考資料として非常に有用です。

とくに、契約書だけでは判断が難しいグレーゾーンについて、どこまで貸主が負担し、どの範囲を借主に請求できるのかを整理するうえで役立ちます。

都内で物件を運営するオーナーはもちろん、入居者とのトラブルを未然に防ぎたい全国の大家にとっても、一度目を通しておく価値があるでしょう。

参考:東京都 賃貸住宅トラブル防止ガイドライン

貸主負担が原則になるケース

通常の使用範囲でつく汚れや、経年による設備の老朽化は借主に責任がないと判断されるため、費用は貸主が負担します。

国土交通省のガイドラインにもあるように、賃貸物件は貸主が事業として提供しているものであり、時間の経過による劣化分は貸主の事業コストに含まれると考えるのが妥当です。

入居者に一方的な負担を強いると、不当な特約とみなされる可能性があります。

貸主負担が原則になるケース
・通常損耗と経年劣化が認められる場合
・特約がなく一般的な契約の場合

 

通常損耗と経年劣化が認められる場合

通常損耗や経年劣化とは、入居者が通常どおり生活する中で避けられない劣化を指します。

たとえば、壁紙の日焼けや床・ドアの小さな擦り傷などが代表的な例です。

これらは物件を貸すうえで想定される自然な消耗であり、オーナー側が負担すべき範囲とされています。

国土交通省のガイドラインでも、通常損耗や経年劣化にかかる費用は貸主負担と明確に示されているため、入居者へ請求することはできません。

特約がなく一般的な契約の場合

契約書に特別な取り決めがない標準的な賃貸借契約では、通常損耗や経年劣化に伴うクリーニング費用は貸主が負担するのが原則です。

法的にも広く認められた考え方であり、契約書に「退去時に借主が一律でクリーニング費用を支払う」といった条項が明記されていない限り、このルールが適用されます。

そのため、オーナーとしては契約時に特約を設けるかどうかが、退去後の費用負担に大きく影響することを理解しておく必要があります。

借主が負担義務を負うケース

借主自身が費用を支払わなければならない代表的なケースとしては、故意・過失で発生した汚損や破損が挙げられます。

たとえば、壁に大きな穴を開けてしまった場合や、家具の移動で床に深いキズをつけてしまった場合などが当てはまります。

借主が負担義務を負うケース
・特約によりクリーニング費用が規定されている場合
・善管注意義務違反や過失が認められる場合

 

特約によりクリーニング費用が規定されている場合

賃貸契約書に「退去時のクリーニング費用は借主が負担する」といった特約が明記されている場合、原則としてその内容は有効と判断されます。

一般的には、費用の範囲や金額が合理的であり、契約前に借主へ丁寧に説明して同意を得ていれば、特約は有効に機能します。

オーナーとしては、トラブル防止のために特約内容を明確化し、説明責任を果たすことが欠かせません。

善管注意義務違反や過失が認められる場合

善管注意義務とは、借主が「社会通念上妥当とされる水準の注意」を払って物件を使用する義務を指します。

これを怠り、通常の生活では発生しないような汚れや破損を招いた場合、その修繕費用やクリーニング費用は借主負担となる可能性が高くなります。

具体例としては、タバコによるヤニ汚れや、ペット飼育によって生じた強い臭い・傷などが典型です。

こうしたケースでは、契約書に「善管注意義務違反があれば借主負担とする」といった条項を明記することで、オーナーはより明確に費用負担を求められるようになります。

退去時のクリーニング費用相場と費用が発生しやすい場所

退去時に発生するクリーニング費用は、オーナーにとっても入居者とのトラブルに直結しやすいポイントです。

そのため、相場感を把握し、費用が高くなりやすい箇所を理解しておくことが重要です。

オーナーとしては、契約書でクリーニング費用の負担範囲を明確にし、入居時にしっかり説明しておくことで、不必要なトラブルを避けつつ、円滑に次の入居募集へと移行できます。

キッチン/水回り/エアコンなど

キッチンは油汚れが蓄積しやすく、水回りは湿気によってカビが発生しやすい箇所です。

さらにエアコン内部もホコリやカビが溜まりやすく、そのまま放置すると不衛生なだけでなく故障の原因にもなります。

これらは退去時に大規模なクリーニングや修繕が必要となり、費用が増大しやすい部分です。

実際の費用目安と見積もりの取り方

ワンルームや1K程度の物件であれば、クリーニング費用は一般的に2万円台後半から3万円前後が目安とされています。

一方、3LDKや4LDKといったファミリータイプの物件では、5万円を超えるケースも少なくありません。

実際の費用は清掃範囲や追加作業の有無によって大きく変動するため、オーナーとしては複数の業者から見積もりを取ることが重要です。

その際には「どの箇所まで掃除が含まれるのか」「オプション費用が発生するか」など、作業範囲を明確に確認しておくことで、不要なコストや入居者とのトラブルを防ぐことができます。

貸主が知っておきたい契約書の記載ポイント

契約書を作成する際は、クリーニング費用をどのように扱うのかを明示し、特約として貸主・借主の負担区分を具体的に定めておきましょう。

ときに、通常損耗や経年劣化は借主の負担にならないことを記載しておくと、不要な誤解や争いを防ぐことができます。

貸主が知っておきたい契約書の記載ポイント
・「退去時クリーニング費用は借主負担」とする特約の有効性
・特約が無効になるケース
・契約時に入居者へ説明すべき内容

 

「退去時クリーニング費用は借主負担」とする特約の有効性

退去時のクリーニング費用を借主負担と定めた特約は、内容が合理的かつ常識的な範囲であれば有効と認められるのが一般的です。

通常使用の範囲を超える汚れや損耗が発生した場合に限って請求できるよう、具体的な条件を明記しておくことで、特約の公平性と有効性が高まります。

特約が無効になるケース

退去時クリーニング費用に関する特約であっても、経年劣化や通常使用による汚れまで借主に負担させるような内容は、不当条項とみなされ無効とされる可能性があります。

国土交通省や自治体が定めるガイドラインから逸脱した取り決めを盛り込むと、後に法的トラブルへ発展するリスクも高まります。

契約時に入居者へ説明すべき内容

「どのような汚れが借主負担となるのか」「追加費用が発生しやすい行為は何か」を具体例とともに示しておくと、後々の誤解や争いを防ぐ効果があります。

写真や過去の事例を用いて視覚的に説明することで、入居者にも理解してもらいやすくなり、トラブル抑止につながります。

なかでもペット飼育や喫煙に関する条項は費用負担の発生源になりやすいため、内容を慎重に設定し、必ず合意を得ておくことが重要です。

トラブルが起きたときの相談先

退去時のクリーニング費用をめぐり入居者とのトラブルが発生した場合は、早めに専門機関へ相談することが解決への近道です。

問題を放置すると、敷金返還や修繕費用の範囲など新たな争点が増え、交渉が一層複雑化する恐れがあります。

まずは契約書や国交省・自治体のガイドラインを確認し、争点となる部分を整理することが重要です。

そのうえで、弁護士や不動産関連の相談窓口など第三者のサポートを活用することで、公平な立場から助言を得られます。

トラブルが起きた時の相談先
・国民生活センター/消費者センター等
・宅建協会や法テラスなど専門機関

 

国民生活センター/消費生活センター等への相談

退去時クリーニング費用をめぐる消費者トラブルについては、国民生活センターや各自治体の消費生活センターで無料相談を受けられる場合があります。

契約内容の妥当性や費用負担の妥当な範囲について、第三者の視点からアドバイスを受けられるのが大きなメリットです。

オーナーとしても、入居者がこれらの機関に相談する可能性を踏まえておくことが重要です。

ガイドラインに沿った合理的な契約内容と説明を行っていれば、外部機関の判断においても有利に働き、不要なトラブルを避けやすくなります。

宅建協会や法テラスなど専門機関の活用

宅建協会では、不動産契約に精通した専門家へ相談でき、契約書の内容や原状回復費用の妥当性について実務的な助言を受けられます。

また、法テラスでは法律の専門家から、法的根拠に基づいた具体的な対応策を提示してもらうことが可能です。

オーナーにとっても、こうした専門機関のサポートを早い段階で活用することで、入居者との交渉がスムーズになり、不要な対立を避けやすくなります。

示談や訴訟に至る前に一度相談してみることで、実務的かつ法的に妥当な解決策を見つけやすくなるでしょう。

よくある質問(FAQ)

退去時のクリーニング費用をめぐる疑問は幅広く、敷金との関係や見積もりの妥当性など多岐にわたります。

以下のQ&Aでは、実際に寄せられることが多い質問を整理し、わかりやすく解説します。

敷金でクリーニング費用をまかなえる?

退去時のクリーニング費用について特約で「借主負担」と定められている場合、実務上は敷金からその費用を差し引くケースが一般的です。

ただし、経年劣化や通常損耗にまで敷金を充当することは原則として認められていません。

オーナーとしては、契約書に明記された特約の範囲に基づいて精算を行うことが重要です。

請求範囲が不明確なまま敷金を差し引くと、不当請求とみなされ入居者とのトラブルにつながる恐れがあるため、契約内容を明確にしておくことがトラブル防止につながります。

借主が費用負担を拒否したらどうなる?

退去時クリーニング費用の支払いを借主が拒否した際には、まず契約書や国交省・自治体のガイドラインを根拠に、費用が発生する理由を丁寧に説明し、合意形成を図ることが重要です。

それでも支払いに応じない場合には、弁護士や宅建協会などの専門機関に相談し、第三者を交えた話し合いへ進める方法があります。

最終的には少額訴訟など法的手続きを検討するケースもありますが、オーナーとしてはまず冷静な説明と交渉を優先し、不要な対立を避ける姿勢が求められます。

相場より高い見積もりを提示されたら?

退去時のクリーニング費用が相場より明らかに高額だと感じた場合には、複数の業者から見積もりを取得して比較することが基本です。

費用が妥当かどうかを裏付けるデータを持つことで、借主への請求根拠としても説明がしやすくなります。

もし不自然に高額な見積もりが出た場合は、管理会社や清掃業者に対して内容の精査や再調整を依頼しましょう。

納得感のないまま合意すると「不当請求」と受け取られ、退去時のトラブルに発展する恐れがあります。

オーナーとしては、相場を踏まえた適正な費用設定を行うことが、信頼関係の維持と安定した賃貸経営につながります。

喫煙やペット飼育がある場合の負担は?

タバコのヤニ汚れやペットによる強い臭い・傷は「通常使用の範囲」を超えるものと判断されることが多く、原状回復の対象となります。

壁紙の全面張り替えや特殊クリーニングが必要になるケースもあり、その費用は借主負担となるのが一般的です。

オーナーとしては、契約書に喫煙やペット飼育に関する条項をあらかじめ明記し、入居時に説明しておくことが重要です。

これにより、退去時の請求根拠が明確になり、不必要なトラブルを避けながら適切に費用を回収できます。

まとめ

クリーニング費用の負担は、国交省や東京都のガイドライン、そして契約書の内容によって大きく左右されます。

退去時クリーニング費用のトラブルを避けるには、通常損耗と故意・過失による汚れの境界をしっかり理解しておくことが大切です。

また、特約の内容が合理的かどうかを確認するとともに、念のため専門家に相談する選択肢も検討してください。

借主と貸主の双方が事前に合意点を把握しておけば、退去時のコミュニケーションもスムーズになり、円満に次のステップへ進めるでしょう。

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