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・アパート経営には火災・自然災害・入居者トラブルなど多くのリスクがあり、火災保険は大家に必須。
・大家向け保険と入居者保険は補償内容が異なり、建物・家財・賠償など役割を分担してリスクに備える。
・火災保険料は建物構造や立地で変わり、木造は建設費の約0.2%、RC造は約0.1%が目安。
・賃貸経営に必要な特約(施設管理賠償・家賃収入・家主費用)を状況に応じて選ぶことが重要。
・保険選びは複数社の比較、補償内容の確認、見積もり検討を行い、加入後も定期的に見直すことが大切。
アパートを所有していると、火災や水漏れ、台風による破損など、思わぬトラブルが起こる可能性があります。
こうしたリスクから建物や家賃収入を守るために欠かせないのが「大家向けの火災保険」です。
しかし、建物・設備・共用部分など補償の種類が多く、何を選べばいいのか迷ってしまうオーナー(大家)も少なくありません。
そこで本記事では、アパート経営で実際によく起きるトラブル例から、火災保険の基本的な仕組み、必要な補償の選び方までを解説します。
この記事の目次
アパート経営に潜むリスク
アパートを所有していると、火災だけでなく自然災害や入居者トラブルなど、思わぬ損害が起こることがあります。
建物の修理費、他者への賠償、家賃収入の減少などにつながるケースもあるため、あらかじめリスクの種類を知っておくことが大切です。
どのような場面で損害が発生しやすいのかを把握しておくと、必要な補償を選びやすくなります。
・火災によるリスク(延焼を含む)
・自然災害によるリスク
・入居者による損害リスク
・建物の破損や倒壊による賠償リスク
火災によるリスク(延焼を含む)
火災が発生すると、建物の修理や再建にまとまった費用が必要になります。
消防庁の統計では、建物火災1件あたりの平均損害額は約307.5万円とされており、大家にとっては大きな負担です。
さらに隣家へ延焼した場合、周辺への賠償が必要になることもあり、想定以上の出費につながるケースもあります。
修理が長引けば、その間の家賃収入が減ってしまうこともあり、経営面への影響も無視できません。
こうした万が一の損失に備えるためにも、火災保険で建物と収益を守っておくことが重要です。
自然災害によるリスク
台風・豪雨・洪水・雪害などの自然災害は、突然大きな被害をもたらすことがあります。
屋根が飛ばされる、外壁が壊れる、浸水するといった損害は修理費が高額になりやすいのが特徴です。
日本は地震も多いため、建物の状態や地域によっては地震保険の検討も必要です。
自然災害への備えは、保険と建物管理の両方から考えておくと安心です。
入居者による損害リスク
入居者の不注意で、火を出してしまったり水漏れを起こしたりすることがあります。
場合によっては大家側が修理費を負担しなければならないケースもあり、トラブルの原因になることもあります。
また、壁や床を傷つけられるなど、入居者が退去するたびに想定外の修繕が必要になることもあります。
こうした場面でも、補償内容の合った火災保険があれば費用負担を軽減できます。
建物の破損や倒壊による賠償リスク
建物が老朽化したままだと、強風や大雨で屋根や外壁が落下し、通行人や近隣の建物に被害を与える可能性があります。
もし倒壊に近い事態が起きれば、大家が大きな賠償責任を負うことにもつながります。
日頃からのメンテナンスはもちろん、万一の時に備えた賠償責任保険などの補償を組み合わせておくと、安心して物件を管理できます。
大家と入居者では加入する火災保険が違う?
同じ「火災保険」という名前でも、大家が加入するものと入居者が加入するものでは補償される内容が大きく異なります。
大家は建物や設備を守るための保険に加入し、入居者は自分の家財や賠償責任を補償する保険に入ります。
賃貸契約では入居者に保険加入を求めるケースが多いため、大家としてもどの部分を自分の保険が補償し、どこを入居者保険に任せるのか把握しておくと安心です。
大家が加入する「オーナー(家主)保険」とは?
オーナー保険は、アパートやマンションなどの建物を所有する大家が入る火災保険です。
建物本体や共用部分、設備の損害を補償することが中心で、火災・台風・水害などによる修理費をカバーできます。
加えて、賃貸ならではのトラブルに備える特約を付けられることが多く、共用部分の破損や入居者からの損害請求に対応できるものもあります。
アパート経営を安定させるために欠かせない保険です。
入居者が加入する「入居者保険」とは?
入居者保険は、入居者が自分の家財を守るために加入する保険です。
火災だけでなく、風災・漏水・盗難などによって家財が被害を受けた場合に補償が受けられます。
また、入居者が誤って部屋を傷つけた場合に使える「借家人賠償責任」や、他人に損害を与えてしまったときの「個人賠償責任」も含まれていることが一般的です。
大家の火災保険ではカバーできない入居者側のリスクを補う役割があり、多くの賃貸契約で加入が義務付けられています。
アパート大家の火災保険の相場は?
アパートの火災保険料は、建物の構造や立地、築年数などによって大きく差があります。
物件ごとに条件が異なるため、まずは相場の目安を知り、どんな要素で金額が変わるのか理解しておくことが大切です。
火災保険料は構造/所在地/特約等により異なる
火に弱い木造と比べて、鉄筋コンクリート造のような耐火性の高い建物は保険料が抑えられやすい傾向があります。
また、台風・豪雨・大雪などの自然災害が多い地域では、リスクが高いため保険料が上がることがあります。
さらに、特約を追加すれば補償の幅が広がる一方で、保険料は高くなります。
物件に必要な補償を見極めながら、いくつかのプランを比較することが大切です。
火災保険料の目安
賃貸アパートの火災保険料は、建物の構造によって大きく変わります。
国土交通省の資料では、木造は建物建設費のおよそ0.2%、RC(鉄筋コンクリート)造はおよそ0.1%が目安とされています。
たとえば建物建設費が2,000万円の場合、木造なら年間約4万円、RC造なら約2万円が保険料の一例になります。
物件の立地や築年数、追加する特約によってはこれより高くなることもあります。
また、長期契約や複数物件をまとめて契約すると割引されるケースもあります。
保険料の安さだけで選ぶと、必要な補償が不足してしまう可能性もあるため、補償内容や免責金額を確認しながら検討することが大切です。
参考:国土交通省 住宅局 賃貸住宅の計画的な維持管理及び性能向上の推進について
アパート大家が検討すべき特約3選
火災保険には、賃貸経営で起こりやすいトラブルに備えるための特約があります。
物件の状況やリスクに合わせて必要なものを選ぶことで、思わぬ出費を減らすことができます。
・施設管理賠償責任特約
・家賃収入特約
・家主費用特約
施設管理賠償責任特約
共用部分の傷みや設備の不具合が原因で、入居者や第三者にケガや損害を与えてしまうことがあります。
施設管理賠償責任特約があれば、こうした事故で発生した賠償費用を補償できます。
建物の管理は大家の責任となるため、もし事故が起きた場合の負担は大きくなりがちです。
大きなトラブルに備えるためにも、賠償リスクをカバーする特約は役立ちます。
家賃収入特約
火災や事故でアパートが住めない状態になると、その期間の家賃収入がなくなってしまいます。
家賃収入特約に加入しておけば、使用不能の間に失われた家賃分を補償してもらうことができます。
とくにローン返済や固定費がある場合、収入が途絶えると経営への影響が大きくなるため、自分の物件規模に合った補償内容を確認しながら選ぶことが大切です。
家主費用特約
孤独死や自殺など、想定外の事故が起きると、清掃・原状回復・処分費用など大きな支出が発生することがあります。
家主費用特約を付けておけば、こうした費用の一部を補償してもらうことができます。
近年は高齢化や単身世帯の増加により、室内での事故リスクが高まっているため、必要に応じて加入を検討しておくと安心です。
アパート大家が火災保険を選ぶ際のポイント
アパートの火災保険は保険会社ごとに内容が異なるため、複数のプランを比較しながら、自分の物件に合った補償を選ぶことが大切です。
・複数の保険会社を比較する
・補償範囲と特約の有無を選択する
・保険期間を選択する
・地震保険の加入を検討する
複数の保険会社を比較する
同じような条件でも、保険会社によって保険料や補償範囲、事故対応の質が大きく違うことがあります。
まずは複数社から見積もりを取り、どの程度差があるのかを確認しましょう。
口コミや評判もチェックしておくと、実際の対応力を知る手がかりになります。
補償範囲と特約の有無を選択する
基本補償に加えて、施設管理賠償責任特約や家賃収入特約など、必要な特約をどう組み合わせるかがポイントです。
特約を増やすと安心感は高まりますが、その分保険料も上がります。
物件の立地や状態を踏まえて、本当に必要な補償だけを選ぶことで、保険料を無理なく抑えられます。
保険期間を選択する
火災保険には1年・3年・5年など複数の契約期間があります。
長期契約は割引が適用される場合があり、保険料を抑えやすいのがメリットです。
ただし、契約期間中に物件の状況が変わることもあるため、必要になったときに補償内容を変更できるかどうかも確認しておくと安心です。
地震保険の加入を検討する
火災保険だけでは、地震や津波による被害は補償されません。
日本では地震リスクが高いため、地震保険にも加入しておくと、建物が損害を受けた際の負担を軽減できます。
保険料はやや高めですが、大規模災害への備えとして検討する価値があります。
アパート大家が火災保険に加入するまでの流れ
火災保険に加入する際は、いくつかのステップを順に進めていくことで、スムーズに契約できます。
・複数の保険会社へ資料請求
・保険代理店で相談
・補償内容の検討
・複数の保険会社へ見積もり請求
・見積もりの比較検討
・加入手続き
複数の保険会社へ資料請求
まずは、保険会社や代理店のサイトからパンフレットや資料を取り寄せ、どんな保険があるのか基本情報を集めます。
最近はオンラインで簡単に資料請求できるため、比較もしやすく、特約の種類なども事前に確認できます。
保険代理店で相談
保険内容がわかりにくい場合は、代理店で相談すると安心です。
物件の構造や築年数をもとに、リスクに合ったプランを提案してもらえます。
複数の保険会社の商品を扱う代理店なら、比較もしやすく、選択肢が広がります。
補償内容の検討
火災だけでなく、台風・雪害・水災など、物件の場所によって必要な補償は変わります。
また、賃貸ならではのリスクに備えるために、賠償責任特約や家賃収入特約などの追加補償が必要な場合もあります。
物件の状況や規模に合わせて、カバーすべき範囲を決めましょう。
複数の保険会社へ見積もり請求
候補が絞れたら、同じ条件で見積もりを依頼して比較します。
補償内容や特約、免責金額をそろえて比較すると、各社の違いがわかりやすくなります。
保険料だけでなく、事故対応の評判なども参考にしましょう。
見積もりの比較検討
届いた見積もりを、保険料・補償範囲・免責金額・サービス内容の観点から確認します。
家賃保証がどこまで補償されるか、事故が起きた際の対応はどうかなど、細かいポイントもチェックし、不明点は必ず問い合わせて解決しておきます。
加入手続き
納得できるプランが決まったら契約手続きに進みます。
契約書や保険証券を確認し、内容に誤りがないかチェックしましょう。
契約が完了すると、指定した開始日から補償がスタートします。
物件の状況が変われば必要な補償も変わるため、定期的に見直すことも大切です。
まとめ
アパートを所有する大家が直面し得るリスクは多岐にわたります。
火災や自然災害、入居者トラブル、老朽化など、どれをとっても物件の経営に深刻な影響を及ぼしかねません。
こうした危機に対応するためにも、火災保険と必要な特約の検討は欠かせない要素です。
また、保険はあくまでリスクを緩和する手段であり、その効果を最大化するためには定期的なメンテナンスや日頃の管理の徹底が重要です。
賃貸経営を安定させるために、保険の見直しや契約内容の把握を怠らず、常に最良の状態を保つことを心がけましょう。
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