この記事の要約はこちら
・短頭種気道症候群は、鼻や喉の構造により呼吸がしづらくなる病気で、フレンチブルドッグやパグなどに多く見られる。
・主な症状は、いびきや大きな呼吸音、運動時の息切れ、重症化するとチアノーゼや失神などが起こる。
・原因は先天的な気道の狭さで、外鼻孔狭窄や軟口蓋過長など複数の異常が重なることで発症することが多い。
・症状が軽い場合は経過観察も可能だが、重い場合は手術によって気道を広げることで改善が期待できる。
・手術費用は数万円〜20万円以上と幅があり、検査や入院を含めると高額になるため、ペット保険の検討も重要。
フレンチブルドッグやパグなどの鼻が短い犬は、「いびきが大きい」「ガーガーと苦しそうに呼吸する」といった様子が見られることがあります。
短頭種だから仕方ないと思われがちですが、その症状は短頭種気道症候群という病気が原因の可能性があります。
この病気は、鼻や喉の構造によって呼吸がしづらくなる疾患です。
症状が進むと呼吸困難や失神、熱中症の重症化などにつながることもあります。
一方で、手術をすれば改善するケースも多く、早めに処置ができれば重症化を防ぐことも可能です。
この記事では、短頭種気道症候群とはどんな病気なのか、よく見られる症状や手術費用の目安、ペット保険で補償されるのかについてわかりやすく解説します。愛犬の呼吸が気になる方は、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の目次
短頭種気道症候群とは
短頭種気道症候群とは、鼻や喉の構造が原因で呼吸がしづらくなる病気の総称です。
フレンチブルドッグやパグなどの短頭種は、鼻が短くて顔が平たい特徴があります。
この特徴を持つ犬は鼻の穴や気道が狭くなりやすく、呼吸のたびに空気が通りにくくなることがあります。
その結果、
- 呼吸音が大きい
- いびきをかく
- 興奮すると息が荒くなる
といった症状が見られることがあります。
軽い症状の場合は普通に生活できますが、症状が進行すると呼吸困難や失神などを起こすこともあり、重症の場合は手術が必要になることもある病気です。
短頭種気道症候群になりやすい犬種

見た目では、鼻が短く顔が平たい犬によく見られます。
犬の中では、「短頭種」に振り分けられる犬種が特にかかりやすいといわれています。
「犬の短頭種気道症候群の病態から学ぶもの」という研究では、短頭種として次の犬種が挙げられています。
・フレンチブルドッグ
・パグ
・ボストンテリア
・ブルドッグ
・ペキニーズ
・シーズー
・狆(ちん)
これらの犬種は顔が平たい特徴を持つため、鼻の穴や気道が狭くなりやすい構造をしています。
そのため呼吸のたびに気道へ負担がかかり、呼吸音やいびきなどの症状が出やすのです。
また、短頭種は「いびきが大きい」「呼吸音がする」といった様子が見られることがありますが、これを体質だと思ってる飼い主さんも少なくありません。
実際は、その症状の裏側に短頭種気道症候群の可能性があるため、呼吸に違和感が見られる場合は、一度動物病院で相談することが大切です。
参考:城下幸仁 相模が丘動物病院 呼吸器科「犬の短頭種気道症候群の病態から学ぶもの」
短頭種気道症候群の症状
短頭種気道症候群では、呼吸のしづらさに関連した症状が見られることが多くあります。
特にフレンチブルドッグやパグでは、日常生活の中で次のような変化に気づくことがあります。
短頭種気道症候群の症状
①異常な呼吸音(ガーガー、ズーズー)
②いびきや無呼吸
③運動するとすぐ疲れる
④チアノーゼや失神の症状が見られた
1. 異常な呼吸音(ガーガーズーズー)
短頭種気道症候群でよく見られるのが、大きな呼吸音です。
口を閉じているときに「ズーズー」「ブーブー」といった音がしたり、口を開けて呼吸すると「ガーガー」といった音がすることがあります。
短頭種では「いびきのような呼吸音」が体質だと思われることもありますが、気道が狭くなっていることで音が出ている場合もあります。
2. いびきや無呼吸
短頭種では眠っているときにいびきをかくことがあります。
しかし、呼吸が一時的に止まるような様子が見られる場合は注意が必要です。
呼吸がしづらい状態が続くと、睡眠中に無呼吸に近い状態になることもあるといわれています。
3. 運動するとすぐ疲れる
呼吸がしづらいと、体に必要な酸素を十分に取り込むことができません。
そのため
・散歩中にすぐ座り込む
・少し運動しただけで息が荒くなっている
といった様子が見られることがあります。
4. チアノーゼや失神の症状が見られた
症状が進行すると、血液中の酸素が不足することがあります。
その結果
・舌や歯ぐきが青紫色になる(チアノーゼ)
・突然倒れる
・突然失神する
といった症状が現れることもあります。
このような状態は命に関わることもあるため、すぐに動物病院で診察を受ける必要があります。
短頭種は熱中症にも注意
犬は「パンティング」と呼ばれる口呼吸によって体温を下げます。
しかし短頭種は鼻が短く口腔のスペースも狭いため、体の熱を逃がすのが苦手といわれています。
そのため短頭種気道症候群がある場合は特に、呼吸が苦しくなりやすく、熱中症が重症化するリスクにも注意が必要です。
短頭種気道症候群はなぜ起こる?
短頭種気道症候群は、生活習慣や外部の要因で発症する病気ではなく、体の構造によって起こる状態と考えられています。
フレンチブルドッグやパグなどの短頭種は、鼻が短く顔が平たい特徴があります。
そのため鼻の穴や喉の空間が狭くなりやすく、呼吸のたびに気道へ負担がかかりやすい構造になっています。
短頭犬種気道症候群について、エムどうぶつクリニックの資料では、
・外鼻孔の狭窄
・扁桃の拡張
・軟口蓋の過長
・喉頭小嚢の外反
・声門裂の狭窄
・喉頭・気管の虚脱
などの異常が単一ないしは複合して発症する症候群と説明されています。
さらに同資料では、短頭種気道症候群の犬を調査した結果として次の割合が報告されています。
| 症状名称 | 割合 |
| 外鼻孔狭窄 | 42.5%(31頭) |
| 軟口蓋過長 | 86.3%(63頭) |
| 喉頭小嚢反転 | 58.9%(43頭) |
| 喉頭虚脱 | 53%(34頭) |
このように短頭種気道症候群は、複数の気道の異常が重なって起こることが多い状態とされています。
そのため、いびきや呼吸音などの症状がある場合は「短頭種だから仕方ない」と考えず、動物病院で相談することが大切です。
参考:エム動物クリニック「病気と予防について『短頭犬種気道症候群』」
短頭種気道症候群は手術が必要?
すべての犬がすぐに手術になるわけではありません。
症状が軽い場合は、体重管理や生活環境の見直しなどで様子を見ることもあります。
一方で、呼吸が苦しそうだったり、運動するとすぐ疲れてしまう場合に手術をすることがあります。
短頭種気道症候群の手術では、気道が狭くなっている部分を広げて呼吸をしやすくします。
例えば、
・鼻の穴を広げる「外鼻孔拡張術」
・喉の奥の組織を切除する「軟口蓋切除術」
これらの手術によって空気の通り道が広がり、呼吸が楽になることが期待できます。
短頭種気道症候群は、症状が進むと呼吸の負担が大きくなり、失神や重い熱中症につながることもあります。
そのため、症状が強い場合は早めに治療を検討することが大切とされています。
また短頭種は麻酔のリスクが高い犬種としても知られています。
そのため、呼吸機能が大きく低下する前の若い時期に手術を検討するケースもあるといわれています。
手術が必要かどうかは犬の状態によって変わるため、呼吸音が大きい、苦しそうにしているといった様子が見られる場合は、一度動物病院で相談してみると安心です。
短頭種気道症候群の手術費用はいくら?
手術費用は症状や手術の内容によって変わりますが、数万円から20万円ほどで想定しておくとよいでしょう。
一般的に行われる手術は、
| 手術 | 費用の目安 |
| 外鼻孔拡張術 (鼻の穴を広げる手術) |
約2万〜5万円 |
| 軟口蓋切除術 (喉の組織を切除する手術) |
約4万〜8万円 |
といったものがあります。
ただし、実際には術前検査(血液検査、レントゲンなど)や麻酔の費用、入院費などの支払いも必要になるため、総額では高額になるケースも珍しくありません。
アニコム損害保険株式会社の「家庭どうぶつ白書2025」では、短頭種気道症候群の原因となることが多い「軟口蓋過長症」について、年間平均診療費が
- フレンチブルドッグ:140,015円
- パグ:121,137円
と報告されています。
また、動物病院の口コミサイトCalooでは、フレンチブルドッグの治療に80万円
かかったという投稿もあり、症状が重い場合には高額な治療費になることがわかります。
口コミからは、手術(5箇所にメスを入れるもの)と1週間の入院の他、薬費用、ネブライザー機器レンタル費用あわせて80万円ほどだったということと共に、別の病院では「手術費用が140万円」必要だと言われたことが述べられています。
それほどに、治療が高額になりやすいということを事前に知っておくともしもの時にも安心ですね。
短頭種気道症候群は手術によって呼吸が改善することも多いとされていますが、治療費が大きな負担になるケースもあります。
そのため、治療費が心配な場合はペット保険の補償内容を確認しておくことも大切です。
参考
アニコム損害保険株式会社「家庭どうぶつ白書2025」
動物病院口コミ検索サイトcalooペット
短頭種気道症候群はペット保険で補償される?
短頭種気道症候群の治療費は、多くのペット保険で補償の対象になることがあります。
ただし、すべてのケースで必ず補償されるわけではありません。
ペット保険では次のような条件によって、補償の対象になるかどうかが変わります。
まず重要なのが、加入する前に発症していないかという点です。
ペット保険では、加入前に発症している病気や症状は基本的に補償の対象外になります。
そのため、
・すでに短頭種気道症候群と診断されている
・加入前から呼吸の症状が出ている
といった場合は、その治療費が補償されない可能性があります。
また、ペット保険によっては先天性疾患や遺伝性疾患を補償の対象外としている場合もあります。
短頭種気道症候群は体の構造が関係しているため、保険会社によっては補償の条件が異なることがあります。
このように、短頭種気道症候群が補償されるかどうかは
・加入のタイミング
・保険会社の補償内容
・約款や重要事項説明書の条件
によって変わります。
そのため、ペット保険を検討する際は補償内容をよく確認することが大切です。
もし「どの保険なら補償されるのかわからない」「今入っている保険で補償されるのか知りたい」という場合は、ペット保険アドバイザーの相談サービスも活用できます。
気になる方は、LINEから気軽に相談してみてください。
ペット保険は必要?

ペットには公的医療保険制度がありません。
そのため診療費の自己負担額は100%です。
もしものときにお金を気にせずペットの治療に専念できるよう、ペット保険に加入することをおすすめします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペットが元気なうちに加入を検討しましょう。
よくある質問
短頭種気道症候群はペット保険適用ですか?
短頭種気道症候群はペット保険の多くで補償対象です。
手術を主とした治療方法になるため、費用が高額になることが考えられます。
ペット保険に加入しておくことで十分な治療を受けさせることができるでしょう。
ただし、加入後に発症した先天性・遺伝性疾患を補償の対象外としている保険会社・プランがあることには注意が必要です。
検討している保険会社の保険約款や重要事項説明書を必ず確認するようにしましょう。
うちのフレンチブルドッグが「鼻孔狭窄」と診断されました。生後半年なのですが手術を行ったほうがいいのでしょうか?
まだ子犬ということで手術を迷われているのでしょう。
しかし手術をしなければいけないのであれば早めに行っておくことをおすすめします。
理由は「麻酔リスクの軽減」と「症状の進行を防ぐため」です。
麻酔は成犬よりも子犬期の方がリスクが低いといわれます。
また早めに治療を行っておくことで、症状の進行に伴う重篤化を防いでくれます。
手術に関しては獣医師に相談しましょう。そのうえで決断することが重要です。
まとめ
今回は、短頭種気道症候群とはどんな病気なのか、主な症状や手術費用、ペット保険で補償されるのかについて解説してきました。
短頭種気道症候群は、フレンチブルドッグやパグなどの短頭種に多く見られる、体の構造によって呼吸がしづらくなる状態です。いびきや大きな呼吸音などが「短頭種だから仕方ない」と思われがちですが、症状が進むと呼吸困難や失神につながることもあります。
一方で、症状の程度によっては外科手術によって呼吸が改善するケースも多く、早めに動物病院で相談することで重症化を防げることもあります。
また、手術や入院が必要になると治療費が高額になることもあるため、ペット保険の補償内容を確認しておくと安心です。
「呼吸音が大きい」「苦しそうにしている」と感じた場合は、体質だと思って様子を見るだけではなく、一度動物病院で相談してみることをおすすめします。
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