医療保険

2021.12.29

医療保険はいらないって本当?医療保険不要論の根拠とは?

医療保険は本当に不要なのでしょうか?万が一の際にどの程度の医療費が必要になるのか?医療保険がいらないと言われる根拠や本当に医療保険に入る必要がない人の特徴をまとめて解説します。

この記事の要約はこちら

・入院1日あたりの自己負担額は平均で23,300円と高額
・ガンは10~20日程度で入院ですむ場合が多い
・統合失調症(平均531.8日)、脳血管疾患(平均78.2日)など長期入院が必要になる場合もある
・医療保険不要論の根拠は高額療養費制度と傷病手当金がポイント
・医療保険が不要な人の特徴1「公的保障の不足を補うだけの蓄えがある」
・医療保険が不要な人の特徴2「生活費を補えるだけの不労所得がある人」
・そうでない人(特に一家の大黒柱や自営業者など)は医療保険を検討する必要性が高い

「大きな病気をして、長期の入院が必要になったらどうしよう?」と不安な人は多いでしょう。
万が一の病気やケガに、経済的に備えるためにあるのが医療保険です。実際に、日本では7割以上もの人が民間の医療保険に加入しています。

一方で、若い人を中心に「医療保険はいらない」という声も聞かれますが、本当のところはどうなのでしょうか。
この記事では医療保険不要論の根拠を探りつつ、医療保険が不要な人とそうでない人の特徴を解説します。

平均的な入院期間と入院費用

医療保険は、主に病気やケガでの入院や手術に備えるための保険です。
日本では「国民皆保険(こくみんかいほけん)制度」を採用しているため、病気やケガのときは誰でも一定の保障を受けられます。

しかし公的医療保険があっても、治療費自体が高額になれば患者の負担も大きくなります。
どの程度備えておけばいいのかを知るために、まずは病気ごとの平均的な入院日数と、入院時に必要になる1日あたりの費用を見ていきましょう。

病気になると平均何日の入院が必要になるのか?

病気やケガで入院した場合、平均何日病院にいることになるのでしょうか。
日本人の死因の上位を占め、「三大疾病」と呼ばれるがん・心疾患・脳血管疾患を中心に、平均在院日数を見てみましょう。
なお、悪性新生物とは「がん」のことです。

【傷病分類別の平均在院日数】                      (単位:日)

傷病名 全体 0~14歳 15~34歳 35~64歳 65歳以上 75歳以上
胃の悪性新生物 19.2 8.1 12.5 13.0 20.8 24.0
気管、気管支及び肺の悪性新生物 16.3 12.5 9.7 13.3 17.1 19.3
乳房の悪性新生物 11.5 5.5 7.1 8.4 15.7 20.1
心疾患(高血圧性のものを除く) 19.3 11.8 10.0 9.0 22.2 28.8
脳血管疾患 78.2 12.3 25.6 45.6 86.7 98.9
高血圧性疾患 33.7 7.7 13.6 15.3 39.5 47.8
統合失調症等 531.8 167.2 106.5 301.6 1,210.6 1,692.2
気分(感情)障害(躁うつ病を含む) 113.9 75.7 47.1 74.9 167.0 196.0
骨折 37.2 6.1 11.3 20.7 45.6 49.5

出典:厚生労働省「平成29年患者調査」

三大疾病の中でも、脳卒中を含む「脳血管疾患」の平均在院日数は特に長く、78.2日となっています。
また、統合失調症や気分(感情)障害などの心の不調も、入院が長期化する傾向があるようです。
そして、どの疾病においても年齢が上がるにつれて入院期間が長くなる傾向が見られます。

1日入院したら平均いくら必要になるのか?

入院することになった場合の具体的な負担額について見ていきましょう。
生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」のデータによれば、入院1日あたりの平均自己負担額は23,300円でした。

内訳として10,000~15,000円を負担した人が24.2パーセントと最も多くなっています。
この自己負担額には治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費を含む)や衣類、日用品などが含まれています。

【入院時の1日あたりの自己負担費用】

5,000円未満 5,000~7,000円未満 7,000~10,000円未満 10,000~15,000円未満 15,000~20,000未満 20,000~ 30,000未満 30,000~40,000未満 40,000円以上 平均(円)
10.6% 7.6% 11.1% 24.2% 9.0% 12.8% 8.7% 16.0% 23,300

※治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品などを含む。高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額
出典:生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」

なお、入院1回あたりの自己負担額は、全体の平均で20.8万円です。10~20万円未満と答えた人が最も多く、30パーセント以上を占めています。

【入院時の自己負担費用】

5万円未満 5~10万円未満 10~20万円未満 20~30万円未満 30~50万円未満 50~100万円未満 100万円以上 平均

(万円)

7.6% 25.7% 30.6% 13.3% 11.7% 8.4% 2.7% 20.8

※治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品などを含む。高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額
出典:生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」

入院で出費が増えることに加えて、「逸失収入」についても考えておく必要があります。
逸失収入とは、「本来得られるはずだったのに、病気やケガが原因で得る機会を逃した収入」のことです。

生命保険文化センターの調査によれば、直近の入院時に逸失収入が「ある」と答えた人は全体の21.6パーセント。逸失収入の平均額は32.0万円となっています。

【直近の入院時の逸失収入の有無】

出典:生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」

 

【直近の入院時の逸失収入】

出典:生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」

自営業の場合、入院のために仕事ができなくなれば収入は減る可能性が高いでしょう。
会社員や公務員であれば有給を使うこともできますが、入院が長期に及ぶ場合は休職することになります。さらに、ボーナスの額にも響くことがほとんどです。

参考までに、公益社団法人全日本病院協会の調査によれば、傷病別の平均的な医療費は以下のとおりです。
公的な健康保険に加入している現役世代であれば自己負担額は医療費の3割で済みますが、それでもある程度まとまったお金が必要になることがわかります。

【傷病別の入院費用】

疾患 1入院あたりの医療費
胃の悪性新生物 944,056円
気管支および肺の悪性新生物 860,261円
乳房の悪性新生物(乳がん) 781,009円
急性心筋梗塞 1,730,618円
脳梗塞 1,766,976円

出典:公益社団法人全日本病院協会「医療費」2020年度年間集計(重症度別・急性期グループ)

医療保険不要論の根拠とは?

ここまで紹介したように、入院すると多くのお金が必要になることが想定されます。
それでも医療保険が不要だといわれる理由として、よく挙げられるのが「高額療養費制度」や「傷病手当金」といった公的保障です。
ここではそれぞれの制度について解説します。

高額療養費制度とは?

高額療養費制度とは、1カ月の医療費が上限額を超えた場合に、超えた額が支給される仕組みのことです。
上限額は年齢や所得に応じて決められています。例えば70歳未満で年収約370~約770万円の人の場合は以下の通りです。

1カ月の自己負担上限額 80,100円+(医療費-267,000)×1%

この制度を利用すれば、 現役世代で年収約500万円の人の場合、1カ月の医療費が100万円であっても自己負担額は 87,430円です。
「医療費の自己負担額が1カ月あたり9万円弱で済むのなら、医療保険に加入するよりも、その分を貯金して備えたほうが合理的」という考えもあります。

ただし注意しておきたいのが、高額療養費制度は入院時に発生する費用すべてに適用されるわけではないという点です。
入院した病院から請求されるのは、治療費、入院基本料、食事代、差額ベッド代です。

このうち治療費と入院基本料は公的医療保険の対象になりますが、食事代や差額ベッド代は対象になりません。
差額ベッド代というのは個室や4人以下の少人数部屋を希望して利用した際に発生する費用のことです。

さらに、先進医療の技術料は公的医療保険の対象にならないので、希望する場合は全額自己負担になります。

参考:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

傷病手当金とは?

傷病手当金とは、病気やケガなどで仕事を休んでいて事業主から十分な給与が支払われない場合に受給できるものです。
ケガや病気で連続して3日休んだ場合、4日目以降の仕事に就けなかった日を対象に傷病手当金が支払われます。
また、給与の支払いがある場合でも、傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給されます。

支給額は給与のおよそ3分の2で、支給される期間は最長1年6カ月です。
「傷病手当金があれば収入がゼロになることはなく、生活費をまかなえる」という安心感から、医療保険に加入しない人もいます。

ただし傷病手当金は会社員や公務員が利用できる制度で、国民健康保険の加入者は受給できません。
(新型コロナウィルス感染症の場合は、市区町村によっては、特例として受給できることもあります。)

医療保険が不要になる条件とは?

医療保険が必要ない人とはどんな人なのでしょうか。ここで医療保険が不要になる条件をチェックしておきましょう。
この条件を満たしていない場合は、医療保険を検討する必要があるといえます。

条件①公的保障の不足分を補えるだけの蓄えがある

第1の条件は、入院が必要になったときに公的保障の不足分をカバーできるだけの十分な貯蓄があることです。
高額療養費制度が利用できるとはいえ、対象となるのは公的医療保険が適用される診療のみなので、一定額の自己負担は必要になります。

前述のとおり、個室や少人数部屋を希望したときにかかる「差額ベッド代」や先進医療の技術料は全額自己負担です。
そのほかにも、パジャマや下着などの衣類、日用品、交通費といった個人的な出費も発生します。
医療保険に加入しないならば、これらの費用を問題なく捻出できるだけの蓄えは必須です。

条件②勤労収入以外の収入と支出の差が少ない

病気やケガで入院すると仕事ができず、収入が減ることも考えられます。
そのため医療保険が不要になる第2の条件として、勤労収入が激減しても生活が維持できることが挙げられます。

勤労収入以外に「生活できる程度の不労所得」があるならば、医療保険に加入しなくても生活には困らないでしょう。
例えば年金のみで生活している人や、不動産経営の家賃収入、株式や投資信託の配当などで生活費をまかなえる人で、条件①の貯蓄も十分にある場合は、医療保険に加入しなくても問題ないといえます。

医療保険を検討する必要性が高い人とは?

前述の「医療保険が不要になる条件」を満たしていない場合、医療保険を検討することをおすすめします。特に必要性が高いのは以下のような人です。

一家の大黒柱

一家の大黒柱として家族の生活を支えている人は、医療保険に加入しておく必要性が非常に高いといえます。
入院により収入が減った場合、家族の生活が立ち行かなくなる可能性があるからです。

学費や住宅ローンなどの支出が多い時期であれば、医療保険の必要性はさらに高まります。
医療保険に加えて、病気やケガで仕事ができなくなったときに収入の減少をカバーする「所得補償保険」や「就業不能保険」、死亡または高度障害になったときに保険金を受け取れる「収入保障保険」なども検討してみてはいかがでしょうか。

主婦・主夫として家事や育児・介護の面で家族を支えている人も、医療保険を検討する必要性があります。
入院中にベビーシッターや一時保育、介護サービスなどを依頼すれば、そのぶんの費用がかかるためです。

充実した医療を受けたい人

充実した医療を受けたい人にとっても医療保険は強い味方です。
というのも、高度な医療技術を使う先進医療も高額療養費制度の対象ではないため、希望する場合は全額自己負担になるからです。

そんなときのために、主契約に数百円程度で「先進医療特約」というオプションが付けられる医療保険も多くあります。
治療の選択肢を広げたい人は、先進医療特約の付加できる医療保険を検討してみると良いでしょう。

自営業者やフリーランス

有給のない自営業者やフリーランスは、入院によって休業を余儀なくされれば収入が減ることがほとんどです。
自営業者やフリーランスといった国民健康保険の加入者には、傷病手当金の制度がありません。

会社員や公務員に比べて公的な保障が薄いからこそ、もしものときの備えとして医療保険に加入しておく必要があるでしょう。

医療保険は健康なうちに検討しよう

医療保険は、十分な蓄えがあり、一定期間勤労収入が得られなくても生活に困らない人であれば必要ないと考えられます。
しかし、それだけの備えができている人は少数派で、多くの人にとって、思わぬ病気やケガをしたときの支えとなるのが医療保険です。

医療保険は加入時に健康状態を告知する義務があるため、大きな病気をしてからでは加入できる商品の選択肢が少なくなってしまいます。
また、年齢が上がるにつれて病気のリスクは上がるため、万が一のことが起こる前に医療保険を検討することをおすすめします。

ただし、やみくもに加入するのではなく、自分にとって必要な医療保険を選ぶことが大切です。
「どんな医療保険に入るべきか」「保障はどの程度必要か」など、わからないことがある場合はプロの保険相談を活用するという手があります。

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