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  • 公開日:2026.2.19
  • 更新日:2026.2.19

中小企業の退職金はなぜ少ない?相場・原因・今からできる対策を解説

中小企業の退職金はなぜ少ない?相場・原因・今からできる対策を解説

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中小企業の退職金が少ない理由や大企業との格差、そして退職金を補うための具体的な対策(iDeCo・新NISA・個人年金)をわかりやすく解説します。

この記事の要約はこちら

・中小企業では退職金制度が未整備なケースも多く、大企業と比べて1,000万円以上の差が生じることがある。
・勤続30年のモデルでは、大卒で約750万円前後が平均とされ、業種や企業規模によっても大きな差がある。
・大企業では確定給付企業年金や企業型DCなどの制度が整い、退職金+企業年金で安定した老後資金を確保できる。
・中小企業の退職金が少ない背景には、資金力や制度維持の難しさ、法的義務の欠如などがある。
・退職金が少ない場合は、iDeCo・新NISA・個人年金保険などの制度を活用し、自助努力で老後資金を補うことが重要。

近年、多くの中小企業では退職金制度が十分に整っておらず、支給されても受け取り金額が少ないケースが増えています。

「同年代の人はもっともらっているのに…」「老後の生活は大丈夫かな」と不安を感じている方も少なくないでしょう。

実際、大企業と中小企業では退職金の平均額に1,000万円以上の差があるというデータもあります。

とはいえ、「どうしようもない」と諦める必要はありません。

退職金が少なくても、制度の仕組みを理解し、今から準備を進めることで老後資金の不安は十分に軽減できます。

本記事では、中小企業の退職金の相場やその仕組み、そして退職金を補うための現実的な対策(iDeCo・NISA・企業年金など)をわかりやすく解説していきます。

自分の将来に向けて、今できる備えを一緒に確認していきましょう。

中小企業の「退職金相場」はどのくらい?

まずは中小企業における退職金の現状を把握するため、平均額や大企業との比較を見てみましょう。

中小企業の平均退職金額は?

中小企業の退職金額は、勤続年数や学歴・役職などによって大きく変わります。

一般的には大企業の約半分程度の退職金額にとどまるケースが多く、制度が整っていない企業ではさらに少なくなる傾向があります。

東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」によると、自己都合で退職した場合のモデル退職金は次のとおりです。

【モデル退職金(自己都合退職)】

勤続年数 高卒 高専・短大卒 大卒
10年 985千円 1,021千円 1,125千円
15年 1,903千円 1,856千円 2,093千円
20年 2,881千円 3,035千円 3,468千円
25年 4,342千円 4,373千円 5,073千円
30年 5,757千円 5,822千円 7,507千円

参考:東京都「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」

一方、会社都合で退職した場合は支給額がやや増え、勤続30年で高卒約657万円、大卒で約776万円が平均となっています。

定年まで勤務した場合の退職金額は、大卒で約1,150万円前後が目安とされています。

さらに、業種別に見ると次のような特徴があります。

【モデル退職金(会社都合退職)】

勤続年数 高卒 高専・短大卒 大卒
10年 1,264千円 1,528千円 1,448千円
15年 2,373千円 2,270千円 2,559千円
20年 3,428千円 3,578千円 4,081千円
25年 5,100千円 5,099千円 6,156千円
30年 6,570千円 6,635千円 7,762千円
定年 9,741千円 9,920千円 11,495千円

参考:東京都 産業労働局

また、企業規模が大きいほど退職金は高くなる傾向があります。

【業種別モデル退職金】
※定年まで勤務した場合

業種 高卒 高専・短大卒 大卒
建設業 9,914千円 9,312千円 9,296千円
製造業 10,272千円 10,405千円 11,076千円
運輸業・郵便業 8,661千円 9,533千円 9,383千円
卸売業・小売業 8,807千円 8,261千円 12,390千円
金融業・保険業 14,970千円 15,211千円 19,404千円
サービス業(他に分類されないもの) 12,132千円 11,572千円 9,691千円

参考:東京都 産業労働局

【企業規模別モデル退職金】
※定年まで勤務した場合

企業規模 高卒 高専・短大卒 大卒
10~49人 9,923千円 10,035千円 10,884千円
50~99人 8,661千円 8,697千円 10,967千円
100~299人 10,920千円 11,635千円 14,457千円

参考:東京都 産業労働局

このように、中小企業では制度や規模によって支給額に大きな差があり、退職金制度がない企業ではゼロのケースも珍しくありません。

そのため、早い段階からiDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなどを活用し、退職金だけに頼らない資産形成を進めることが重要です。

大企業の退職金相場は?

大企業では退職金制度がしっかり整備されており、大学卒で2,000万円を超える支給額が一般的です。

厚生労働省「令和5年賃金事情等総合調査」によると、満勤勤続(定年まで勤務した場合)の退職金は以下のとおりです。

学歴 満勤勤続の退職金
高卒 20,199千円
大卒 21,396千円

参考:厚生労働省「令和5年賃金事情等総合調査」

この金額は、中小企業の平均退職金(大卒:約1,150万円前後)と比べると、約2倍近い差があります。

こうした格差の背景には、企業の財務体力や退職金の積立制度の違いがあります。

大企業では「確定給付企業年金」「確定拠出年金(企業型DC)」といった制度を導入しているケースが多く、退職金に加えて老後資金を積み立てられる仕組みが整っています。

また、福利厚生制度の一環として退職後の生活支援を重視する傾向があり、退職金+企業年金の二段構えで安定した老後資金を確保できるのが特徴です。

その結果、同じ勤続年数でも中小企業と比べて1,000万円以上受け取り額に差が出るケースも珍しくありません。

退職金制度が充実しているかどうかは、企業選びや将来設計において非常に重要なポイントといえるでしょう。

中小企業の退職金が少ないのはなぜ?

中小企業では、大企業に比べて退職金制度が十分に整っていないケースが多く見られます。

ここでは、中小企業が採用している主な退職金制度の特徴と、金額が少なくなりやすい背景を見ていきましょう。

中小企業が採用している主な退職金制度
・退職一時金制度
・確定給付企業年金制度(DB)
・企業型確定拠出年金制度(DC)
・退職金共済制度

 

退職一時金制度

退職時にまとめて退職金を支払う仕組みで、企業があらかじめ積み立てを行わず、自社の資金から支給するケースが多い制度です。

そのため、会社の業績が悪化すると支給額が減ったり、最悪の場合は支払えないリスクもあります。

制度としては導入しやすい一方、安定的な運用には経営体力が必要です。

確定給付企業年金制度(DB)

企業が「将来いくら支払うか」をあらかじめ約束し、その給付額を保証する制度です。

従業員にとっては安心感がある一方、企業が毎年掛金を負担し、さらに運用リスクも背負う必要があります。

中小企業ではこの負担が重く、制度を維持するのが難しいため導入率は低いのが実情です。

参考:私的年金制度の概要(企業年金、個人年金) |厚生労働省

企業型確定拠出年金制度(DC)

企業が拠出金を出し、従業員自身がそのお金を運用して将来の受取額を決める制度です。

運用次第で退職金が増える可能性もあるため、従業員の資産形成意識が高まるメリットがあります。

ただし、制度運用には専門知識や管理コストがかかるため、中小企業では導入が進みにくい傾向があります。

参考:私的年金制度の概要(企業年金、個人年金) |厚生労働省

退職金共済制度

中小企業退職金共済(中退共)に代表される制度で、国が運営する退職金の積立制度です。

毎月の掛金を支払えば、退職時に共済から退職金が支給される仕組みで、導入の手間が少なく、比較的ハードルが低いのが特徴です。

ただし、自社の独自制度と併用する場合は仕組みが複雑になりやすく、従業員への説明や制度設計に注意が必要です。

参考:中小企業退職金共済制度(中退共制度)|厚生労働省

退職金の計算方法を分かりやすく解説

退職金の計算方法は会社によって異なり、勤続年数や役職、給与額、評価など、どの要素を反映させるかで大きく変わります。

ここでは、企業でよく使われる代表的な4つの方式をわかりやすく紹介します。

代表的な退職金の計算方法
・定額制
・基本給連動型
・別テーブル制
・ポイント制

 

定額制

勤続年数や役職に応じて、あらかじめ決まった金額を支給する最もシンプルな仕組みです。

計算がわかりやすく、企業側も予算を立てやすいというメリットがあります。

一方で、個人の成果や貢献度が反映されにくいため、社員のモチベーション維持が課題になりやすい制度です。

基本給連動型

退職時の「基本給」に勤続年数などの係数を掛けて計算する方式です。

長く勤めるほど退職金が増える仕組みで、社員にとってわかりやすく公平感があるのが特徴です。

ただし、勤続年数の長い社員が多い企業では支給額が高くなりやすく、会社の負担が大きくなる場合もあります。

そのため、導入する際は財務面のシミュレーションを行い、無理のない範囲で設計することが大切です。

別テーブル制

職種や役職ごとにテーブルを分け、それぞれに「勤続年数 × 支給額」の基準を設定する仕組みです。

営業職・技術職・事務職など職種が多い企業で採用されることが多く、職務内容に応じた柔軟な制度を作りやすいのがメリットです。

ただし、制度が複雑になりやすく、社員にとってわかりにくくなることもあるため、明確な基準づくりが欠かせません。

ポイント制

勤続年数・業績評価・資格取得などをポイント化し、その合計ポイントに応じて退職金額を決める制度です。

社員の努力や成果を細かく反映できる点が魅力で、働く意欲を高める効果も期待できます。

ただし、ポイントの付け方や評価基準が不透明だと不公平感が生まれるため、明確なルールづくりが重要です。

退職金の受取方法と税金

退職金の受け取り方には、「一時金」「年金」「併用(ミックス)」の3種類があります。

それぞれ税金の扱いやメリット、注意点を確認していきます。

退職金の受取方法と税金
・一時金受取の場合は退職所得
・年金受取の場合は雑所得
・一時金受取と年金受取を併用できる場合も

 

一時金受取の場合は退職所得

退職金を一括で受け取ると「退職所得」として扱われ、退職所得控除という大きな税制優遇が受けられます。

勤続年数が長いほど控除額が増えるため、結果的に税金が大幅に軽減されるのが特徴です。

ただし、一度にまとまったお金を受け取るため、使いすぎてしまうリスクもあります。

特に中小企業では退職金の金額が少ないケースもあるため、受取後の資産運用や老後の生活設計をしっかり考えておくことが大切です。

年金受取の場合は雑所得

退職金を年金のように分割して受け取る場合は、「雑所得」として課税されます。

一度に大きな金額を受け取らないため、税負担を平準化でき、公的年金等控除などの優遇措置も受けることができます。

老後の生活費を毎月の収入として安定的に確保できる点がメリットですが、住宅購入や子どもの教育資金など、まとまった支出がある場合には不向きな場合もあります。

一時金受取と年金受取を併用できる場合も

企業年金や退職金制度によっては、一時金+年金の併用を選べることもあります。

たとえば、一部を一時金で受け取り、残りを年金として分割することで、「手元資金の確保」と「老後の安定収入」の両方を実現できます。

老後の暮らし方や家族構成、今後の支出予定に合わせてバランスを取るのがおすすめです。

退職金が少ないなら「自助努力」は必須!3つの対策

中小企業では、退職金だけでは老後の生活費をまかなえないことも少なくありません。

そのため、会社の制度に頼るだけでなく、自分自身で資産を積み立てる「自助努力」が欠かせません。

ここでは、節税の仕組みを活用しながら効率よく老後資金を準備できる3つの方法を紹介します。

節税の仕組みを活用しながら効率よく老後資金を準備できる3つの方法
・iDeCoで節税しながら老後資金を貯める
・新NISAで税制優遇を受けながら長期運用
・個人年金保険を準備する

 

iDeCoで節税しながら老後資金を貯める

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、国が推進する老後資金づくりの制度です。

毎月の掛金が全額所得控除の対象となるため、節税効果が大きいのが特徴です。

さらに、運用で得た利益にも税金がかからず、効率的にお金を増やすことができます。

ただし、原則として60歳まで引き出せないため、無理のない金額で積み立てることが大切です。

長期的にコツコツと積み立てることで、退職金の不足分をしっかり補うことができます。

新NISAで税制優遇を受けながら長期運用

新NISA(少額投資非課税制度)は、株式や投資信託の運用益が非課税になる制度です。

少額から始められるため、投資初心者でも利用しやすいのが魅力です。

長期的に積み立てることで、退職金にプラスして老後資金を増やせる可能性があります。

投資先を複数に分散することでリスクを抑え、安定的な運用を目指しましょう。

基本的な投資の仕組みを理解しておけば、資産形成の強い味方になります。

個人年金保険を準備する

個人年金保険は、保険会社に毎月一定額を積み立て、将来「年金」として受け取る仕組みです。

契約内容によっては所得控除の対象となるため、節税効果にも期待できます。

支払いを続けることで、将来確実に年金を受け取れる点が安心材料です。

ただし、保険料や利率は会社ごとに異なるため、複数のプランを比較して自分に合った商品を選ぶことが大切です。

まとめ

中小企業の退職金は制度の導入状況や企業規模により異なります。

大企業と比べて退職金制度が整備されにくい中小企業では、受け取れる退職金が少なくなりがちです。

退職金を少しでも確保するためには、企業側の制度導入だけでなく、従業員自身が資産形成を積極的に行うことが欠かせません。

老後にゆとりある生活を送るために、iDeCoや新NISA、個人年金保険などを早めに検討し、少額からでもコツコツと取り組んでおくと、老後までに大きく資産を成長させられる可能性が高まるでしょう。

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