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・金融政策の変更に伴い、今後は変動金利・固定金利ともに高くなっていく可能性がある
・住宅ローンの金利は金融機関が個別に決めているため、利用する金融機関の金利が実際にどうなっていくのかを確認しよう
・住宅ローンの金利が高くなっていくことを前提にして、今後のマネープランを考えていく必要がある
2024年に日銀は従来のマイナス金利政策を解除し、金利を引き上げることを決定しました。
今後も利上げが予測されていることを踏まえて、住宅ローンの金利がどうなるのか不安に感じている人もいるでしょう。
金利がどうなるかを予測するのは難しいものですが、少しでもお得にローンを組むためには、最新の情報を押さえておくことが重要です。
そこで今回は、住宅ローン金利の今後の見通しや、金利の変化に備える方法などをわかりやすく解説します。
金利に左右されず、安心してマイホームを購入したい方はぜひ参考にしてください。
この記事の目次
住宅ローンの金利はどうやって決まる?
住宅ローンの金利は、変動金利、固定金利、固定金利期間選択型の3種類があります。
まずは、これらの金利がどのように決まるのかを理解しておきましょう。
変動金利
変動金利型は、半年ごとに金利が見直されるタイプです。
この金利は「短期プライムレート」を基準に決定されます。短期プライムレートとは、銀行が財務状況の良い優良企業に対して、1年未満の短期間で貸し出す際の基準金利のことです。
そして、このレートは「無担保コール翌日物」などの市場金利を参考にして決まりますが、無担保コール翌日物の金利は、中央銀行(日本では日本銀行)が設定する「政策金利」に大きく影響されます。
政策金利は、景気や物価の安定を目的に中央銀行が調整する短期金利です。
景気が好調な時には過熱を抑えるために引き上げられ、逆に景気が低迷している時には融資を促進して市場にお金を流すために引き下げられます。
つまり、政策金利が変動すると、無担保コール翌日物の金利や短期プライムレートも変わり、最終的に変動金利に影響を及ぼすという仕組みになっているのです。
固定金利
固定金利には「全期間固定金利型」と「固定金利期間選択型」があります。
全期間固定金利型は、ローン返済期間中の金利が一定で、固定金利期間選択型は、あらかじめ選んだ期間(2年、3年、5年、10年など)が終了した後に、再び変動金利または固定金利を選択できるタイプです。
固定金利は「長期金利」を参考に決定されます。長期金利には「新発10年物国債(償還期限10年の国債)」の金利が強く影響しています。
新発10年物国債の利回りは、中長期的な景気動向や将来の物価変動(インフレやデフレ)によって左右されます。
また、政府による国債の買い入れの影響も受けます。
例えば、金融緩和を目的として中央銀行が多くの国債を購入すると、債券価格が上昇し、利回りは低下します。
逆に金融を引き締める場合は、国債の買い入れが減り、利回りが上昇することになります。
つまり、金融政策の変更により国債の買い入れ額が変わると、新発10年物国債の利回りが変動し、それが固定金利に影響を及ぼす可能性があるということです。
住宅ローン金利はこれからどうなる?マイナス金利解除の影響は?
住宅ローンの金利を把握するうえでは、景気や金融政策の動向を注視することが、非常に重要です。
特に、日本銀行の金融政策や市場の動きは、住宅ローン金利に直接影響を及ぼします。
今後の金利動向とマイナス金利解除の影響について詳しく見ていきましょう。
変動金利の見通し
2024年3月、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現される見通しが立ったため「無担保コール翌日物」を0~0.1%程度に誘導する方針を発表しました。
さらに、2025年8月には、この金利を0.5%になるなど、金利が徐々に上昇する方向へ進んでいます。
先述したとおり、政策金利の変更は変動金利に影響を及ぼしますが、実際に変動金利がどれだけ上がるかは、金融機関ごとの判断によります。
たとえば、楽天銀行では、徐々に金利を引き上げており、2024年3月に1.206%だった変動金利は、2025年9月には1.643%まで上昇しています。
一方、ソニー銀行は0.5%前後で金利を据え置くなど、対応は分かれています。
これは一気に住宅ローンの金利を変更すると、不動産市場の冷え込みにつながりかねないことや、金融機関同士の顧客獲得競争などが関係していると考えられるでしょう。
今後、マイナス金利解除の影響により、変動金利は上昇傾向が続く可能性がありますが、どの程度まで上がるかは金融機関の動向や市場環境によって異なるため、注意深く見守る必要があります。
出典:日本銀行 金融政策の枠組みの見直しについて
出典:日本銀行 2024年7月金融政策決定会合での決定内容
固定金利の見通し
固定金利の動向は、長期金利の影響を強く受けます。
2023年7月には、日本銀行が長期金利の変動幅を1%程度まで容認する方針を発表しました。
さらに、2024年3月には長期金利の誘導目標に上限を設定せず、6億円の国債買い入れを実施するなどの政策変更がありました。
その後、2024年7月からは国債の買い入れを減額する方針が示され、4半期ごとに4000億円ずつ減らす計画が進行しています。
これらの政策変更により、長期金利は上昇傾向にありますが、固定金利(10年国債利回り)は市場取引の影響も受けるため、必ずしも直線的に上がるわけではありません。
しかし、10年国債利回りは上昇傾向にあり、それに合わせて固定金利も上昇傾向にあります。
たとえばフラット35の借入金利(借入期間20年以下、融資率9割以下、新機構団信付き)は、2023年7月には1.300%〜2.590%であったのに対して、2024年8月には1.460%〜3.020%まで上昇しています。
ただし、変動金利と同様に金融機関によって対応は異なります。
たとえば楽天銀行における2024年8月と2024年9月の固定金利を比較すると、金利は若干引き下げられています。
出典:日本銀行 当面の金融政策運営について
出典:日本銀行 金融政策の枠組みの見直しについて
出典:日本銀行 2024年7月金融政策決定会合での決定内容
出典:フラット35 【フラット35】借入金利の推移
住宅ローンの金利が上がると具体的にどんな影響がでる?
住宅ローンの金利が上がると、新規申込者や借り換えを検討している人、そして既に住宅ローンを利用している人にも様々な影響が出てきます。
それぞれのケースについて、金利上昇による具体的な影響を見ていきましょう。
新規申込・借り換えへの影響
住宅ローンの金利が上がると、新規申込や借り換えをする場合の負担が大きくなる可能性があります。
固定金利、変動金利のいずれも上昇傾向にあるため、総返済額が増加し、返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)も高くなることが予想されます。
返済負担率は住宅ローンの審査で重視されるポイントの一つなので、審査に通りにくくなったり、希望する金額を借りれなかったりする可能性もあるでしょう。
ただし、金利の引き上げは金融機関ごとの判断に委ねられており、必ずしもすべての金融機関で一律に上がるわけではありません。
また、審査結果によっては、引き下げ金利が適用される場合もあるため、実際の金利は申込者の条件次第で異なります。
引き下げ金利に影響する要素としては、勤務先、返済負担率、頭金の割合、住宅の担保評価、利用する金融機関の他のサービスの契約状況などがあります。
これらの要因によって金利が下がるケースもありますが、金利上昇時には慎重な計画が必要です。
特に、借り換えを検討している場合は、金利や手数料を総合的に比較して、トータルでどれだけのコストがかかるのかをよく検討することが重要です。
既に住宅ローン利用中の人への影響
既に住宅ローンを利用している人も、金利上昇の影響を受ける可能性がありますが、契約しているローンの種類によって影響度合いは異なります。
変動金利で借りている人
変動金利で借りている場合、金利が上がると返済額に占める利息の割合が増えますが、多くの金融機関には「5年ルール」や「125%ルール」といった仕組みがあるので、急激に毎月の返済額が上がるわけではありません。
- 5年ルール:金利が上昇しても5年間は毎月の返済額を変更しないとするルール
- 125%ルール:金利上昇から5年経過後の6年目からの毎月の返済額は、今までの返済額に対して125%の金額までしか上げられないとするルール
しかし、利息の支払いが増えるため、元金の返済が思うように進まなくなる可能性があります。
また、「5年ルール」や「125%ルール」を設けていない金融機関もあるので、注意が必要です。
全期間固定金利で借りている人
全期間固定金利の場合、契約時に決められた金利が返済期間中ずっと適用されるため、金利が上昇してもほぼ影響はありません。
一定期間固定金利で借りている人
一定期間固定金利の場合、その固定期間中は金利が変わりませんが、次の切り替え時には、現在の金利が適用されます。
切り替え時に再度固定金利を選択する場合も、金利が上がっていれば新しい高い金利が適用され、住宅ローンの金利が上がると具体的にどんな影響がでる?あります。
このため、固定期間が終了する前に今後の金利動向を確認し、必要であれば早めに対策を講じることが重要です。
ただし、一定期間固定金利のタイプでは、金利情勢にかかわらず、切り替えのタイミングで高い金利が適用されるケースがほとんどです。
【これから借りる人向け】住宅ローンの金利上昇に備えてやるべきこと
住宅ローンをこれから借りる人にとって、金利上昇にどう備えるかが重要です。ここでは、金利上昇に備えるためにやるべきことを解説します。
固定金利と変動金利のどっちが合っているかを見極める
現在の金利水準では、変動金利の方が低く見えますが、今後の金利上昇を考慮すると一概にどちらが良いとは言えません。
変動金利は、金利が急上昇すると返済負担が重くなるリスクがあり、生活がギリギリの場合には金利変動が生活を圧迫する可能性があります。
一方、固定金利は、金利の変動を気にせず計画的に返済できるメリットがあります。
どちらが自分に合っているかを判断する際は、金利以外のメリットにも注目し、総合的に判断しましょう。
もし迷った場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのも有効です。
40万件以上の相談実績を持つ「みんなの生命保険アドバイザー」では、2,000名以上のFPが登録されており、何度でも無料で相談することができます。自分に合ったFPを見つけて、最適な金利タイプを選ぶ手助けをしてもらうのも良いでしょう。
金利が上がる前提でシミュレーションをしておく
金利上昇に備えるためには、金融機関が提供している「住宅ローンシミュレーター」を活用して将来の返済額をシミュレーションすることが大切です。
金利が上がる前提で、数パターン試算してみると良いでしょう。
加えて「キャッシュフロー表」を作成することで、長期的な資金計画を立てることができます。
キャッシュフロー表は、家計の収支を長期的に見通すためのツールです。
毎月の収入と支出、貯蓄の増減を時系列で記載することで、将来のお金の流れを視覚的に把握できます。
大まかな収支の流れを把握するだけでも、今後の金利変動に対する備えになります。シミュレーション結果をもとに、無理のない返済計画を立てていきましょう。
【既に借りている人向け】住宅ローンの金利上昇に備えてやるべきこと
変動金利で既に住宅ローンを利用している人は、以下のポイントを参考に、金利上昇の影響を最小限に抑えるための準備をしておきましょう。
貯蓄をしておく
金利が上がると毎月の返済額が増える可能性があるため、それに備えて貯蓄を増やしておくことが重要です。
貯蓄があると、返済額が増えた時でも生活費に困らず、安心して対応できるでしょう。
繰上げ返済をする
繰上げ返済とは、毎月の返済とは別にまとまった金額を返済することです。
繰上げ返済をすると元本の減るペースが早くなるので、返済期間の短縮や総支払利息の軽減ができ、金利変動のリスクにも備えられます。
余裕資金がある場合は、計画的に繰上げ返済を検討しましょう。金利が上がる前に返済を終えられるかもしれません。
借り換えを検討する
変動金利で借りている人で、今後の金利上昇が不安な場合は、固定金利への借り換えを検討するのも一つの手です。
現行の水準であれば、変動金利は固定金利を大きく下回ることが多くなっていますが、過去には変動金利と固定金利が同水準となっていたこともありました。
そのため、今後は変動金利が固定金利を上回る可能性もゼロではありません。
借り換えることで、現行の金利が固定されるので、安心して返済を進められるようになるでしょう。
ただし、借り換えには事務手数料や登記関連費用などの諸費用がかかるため、これらのコストを考慮し、トータルで経済的メリットがあるかを確認することが重要です。
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まとめ
日銀の大幅な金融政策の変更により、今後は変動金利・固定金利ともに上昇していく可能性があります。
既に住宅ローンを利用している人も、これから申し込む人も金利が高くなることを前提に今後のマネープランを考えていきましょう。
「住宅ローンの金利の仕組みについてよく理解できない」「今後のマネープランを一人で考えられない」という人はお金のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみましょう。
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