この記事の要約はこちら
・自営業の人は病気やケガで働けなくなると、公的保障が薄いためすぐに収入が減るリスクがある
・自営業の人は会社員のように傷病手当金や障害厚生年金などの制度は利用できない
・自営業の人は貯金や保険などを活用し、リスクに対する備えをしておく必要がある
・自営業の人は就業不能保険や所得補償保険などに加入しておくのがおすすめ
自営業の人は会社員の人と比べると「社会保障が手薄」と聞いたことがある人もいるでしょう。
病気やケガで働けなくなった時に利用できる制度はあるのか、どのような対処法があるのか気になっている人も多いでしょう。
そこで今回は、自営業の人が働けなくなるとどのような影響があるのか、具体的な対処法も併せて解説します。
この記事の目次
自営業の人は働けなくなったらどうなる?
自営業の人が働けなくなった場合、どのようなリスクが生じるのでしょうか。
一般的な会社員と比較しながら、確認してみましょう。
収入がすぐに減少する可能性がある
会社員の場合は有給休暇が取れるので、仕事を休んでもすぐに収入が減ることは考えづらいでしょう。
しかし、自営業者に有給休暇はありません。
従業員がいれば自分が休んでも一定の収入を得られますが、自営業の場合、一人で事業を運営しているケースがほとんどでしょう。
ノウハウや顧客とのやりとりなどが事業主のスキルや能力に依存している場合は、従業員がいても売り上げが大きく減ってしまうはずです。
自営業者が働けなくなった場合、すぐに収入がゼロになったとしても不思議ではありません。
会社員と違って収入の保障がないので生活が苦しくなることも
会社員が働けなくなった場合は、以下のような公的保障制度による収入の保障があります。
- 傷病手当金
- 障害厚生年金
- 失業保険
傷病手当金とは、3日以上連続して会社を休んだときに、4日目から最長1年半の間、給付を受けられる制度のことです。
給与のおよそ3分の2の給付を受けられるため、毎月の給料が30万円の人は約20万円分の給付を受けられます。
しかし、自営業者が加入する国民健康保険に傷病手当金の制度はありません。
障害厚生年金は、所定の障害状態に該当し、障害等級が1〜3級に認定された場合に、年金の給付を受けることができる制度です。
一方で、障害基礎年金は、所定の障害状態に該当し、障害等級が1〜2級に認定された場合に、年金の給付を受けることができる制度です。
障害年金は、初診日から1年6ヶ月経過後から請求できます。
一般的に、会社員は障害厚生年金と障害基礎年金の両方を受給できる可能性があります。
しかし、自営業者の場合は障害基礎年金しか受給できません。
また、休んでいる間に職を失ってしまったとしても、会社員の場合は失業手当が受け取れます。
しかし、自営業の場合は休みが長引いたことで取引先がなくなり、売り上げが減少してしまったとしても、失業手当のような制度は利用できません。
会社員と比べて、自営業者は利用できる公的保障の範囲が限られているため、働けなくなることにより収入が大きく減少するリスクがあります。
自営業の人が働けなくなったとき最初にやるべきこと
取引先や関係者に正直に状況を伝えましょう。ご自身の状況や、復帰の見通しなどを誠実に伝えることで、信頼関係の悪化を防ぎ、取引の継続につながる可能性があります。
そのうえで、事業を完全に停止させずに済む方法がないか検討します。例えば、納期を延期できないか、一部の業務を信頼できる同業者や外部の協力者に委託(外注)できないかなどを相談してみるのも一つの手です。
ご自身が不在でも事業が少しでも回る仕組みを模索することが、その後のスムーズな復帰につながります。
自営業の人が働けなくなった時の収入確保の手段
働けなくなったときにまず直面するのが収入の減少です。
ここでは、当面の生活費や事業費を確保するための具体的な手段を5つ解説します。
・貯金を取り崩す
・生命保険を活用する
・労災や障害年金の申請を検討する
・金融機関からの貸付を受ける
・ファクタリングを活用する
貯金を取り崩す
まず検討すべきなのが、ご自身の貯金を取り崩して生活費に充てる方法です。
自営業の方は、万が一に備えて生活費の1〜2年分を「緊急予備資金」として準備しておくのが理想です。
この資金があれば、収入が途絶えても慌てずに治療に専念したり、次の対策を考えたりする時間を確保できます。
生命保険を活用する
生命保険に加入している場合、現在の状況で活用できる制度がないか確認しましょう。
加入中の保険で給付金を受け取れないか確認する
まずは、ご自身が加入している保険の内容を確認し、保険会社や代理店に連絡しましょう。 病気やケガの状況によって、以下のような給付金を受け取れる可能性があります。
- 入院給付金・手術給付金:医療保険やがん保険
- 診断一時金:がん保険など
- 就業不能給付金:就業不能保険や所得補償保険
契約者貸付制度の利用も検討
解約返戻金がある生命保険に加入している場合、「契約者貸付制度」を利用できる可能性があります。
契約者貸付制度とは解約返戻金の一部を上限として、保険会社からお金を借りられる制度です。
比較的低い金利で、審査なしでスピーディーに資金を準備できるメリットがあります。保険を解約せずに保障を継続したまま利用できる点も特徴です。
労災や障害年金の申請を検討する
公的な保障制度が利用できないか確認しましょう。
仕事中や通勤中のケガ・病気が原因で働けなくなった場合、労災保険から給付を受けられる可能性があります。
自営業の方は原則として対象外ですが、建設業や運送業など一部の業種では「特別加入制度」により任意で加入できます。
また、病気やケガによって法令で定められた障害の状態になった場合、障害基礎年金を受給できる可能性があります。
申請から受給まで時間がかかる場合もあるため、該当するかもしれないと感じたら早めに年金事務所へ相談しましょう。
金融機関からの貸付を受ける
事業の運転資金や当面の生活費が不足する場合、金融機関からの貸付も選択肢の一つです。
日本政策金融公庫などの公的機関は、比較的低い金利で融資制度を設けている場合があります。
ただし、融資には審査が必要であり、返済義務も生じるため、将来の返済計画まで含めて慎重に検討しましょう。
ファクタリングを活用する
ファクタリングとは、事業で発生した未入金の請求書(売掛金)をファクタリング会社に買い取ってもらい、手数料を差し引いた代金を早期に受け取るサービスです。
借入ではないため、審査が比較的早く、すぐに現金化できるメリットがあります。
急な資金需要に対応する手段として、このようなサービスがあることも覚えておきましょう。
自営業の人が働けなくなった時に備えてやるべきことは?
自営業の人は公的保障に頼れない分、自助努力で働けなくなった時に備えておく必要があります。
ここでは自営業の人が、収入減少に備えてやっておくべき対策について、解説します。
・緊急予備資金を貯金しておく
・生命保険に加入する
・休業中でも仕事が進められる体制を作っておく
・家族や専門家の助けを借りる
緊急予備資金を貯金しておく
緊急予備資金とは、万が一に備えて用意しておくお金のことで、生活防衛資金と呼ばれることもあります。
生活を立て直すまでの資金として、一定額を貯めておけば、万が一収入が減った時も生活費をカバーできるでしょう。
会社員の場合は、生活費の3〜6ヶ月程度が貯金額の目安と言われています。
しかし自営業の場合は公的保障が手薄であることを加味して、1〜2年分を目安に貯金しておくと良いでしょう。
関連記事
生活防衛資金とは?金額の目安やかしこく準備するコツを解説!
生命保険に加入する
収入減少に備える方法として、多くの人におすすめできるのが「保険への加入」です。
貯金で生活費の不足を補う場合、一定額が貯まるまでにある程度時間がかかります。
そのため、貯金をしている間に病気にかかってしまう可能性もゼロではありません。
保険料さえ支払っていれば、貯金が全くない状態でも収入減少のリスクに対して備えられるのがメリットです。
とくに以下3つの保険は優先的に検討したほうがよいでしょう。
- 就業不能保険
- 所得補償保険
- 医療保険・がん保険
就業不能保険
就業不能保険とは、病気やケガで働けなくなった時の生活費をカバーできる保険です。
保険会社の定める就業不能状態に該当した場合、給付金を毎月受け取れます。
一定期間のみを保障する「定期タイプ」であることが一般的です。
所得補償保険
所得補償保険も、病気やケガで働けなくなった時の収入を補填するための保険です。
生命保険会社が販売する商品は「就業不能保険」、損害保険会社が販売する商品は「所得補償保険」といわれています。
また、そのほかにも以下のような違いがあります。
| 就業不能保険 | 所得補償保険 | |
| 保険期間 | 60歳や70歳までなど | 1年や5年など |
| 保障金額 | 契約前の年収に応じて上限を設定 | 契約前1年間の所得に対して50〜70%を上限に設定 |
| 免責期間 | 60日、180日などが一般的 | 最短で7日程度の商品もあり |
医療保険・がん保険
医療保険は、病気やケガで入院・手術をした際に、契約時に決めた給付金が支払われる保険です。
受け取った給付金は治療費以外に充てることも可能なので、保険金額を多めに設定しておけば、収入の不足をカバーするのにも役立ちます。
がん保険は、がんになった際の治療費をカバーするための保険です。
医療保険の一種ではありますが、がんになった場合は一般的な医療保険よりも手厚く保障されるのが特徴となっています。
たとえばがんと診断された際に、100〜200万円程度の一時金を受け取れる商品も珍しくありません。
一時金は使い道自由であるため、生活費の不足分をカバーするために活用することもできます。
個人事業主やフリーランスにおすすめの保険や、保険の必要性については以下の記事でも解説しています。
個人事業主・フリーランスにおすすめの保険は? 必要性も詳しく解説
休業中でも仕事が進められる体制を作っておく
自身が働けなくなっても、事業が完全に停止しないような仕組み作りも備えの一つです。 すぐに収入がゼロになる事態を避けるため、以下のような準備を進めておくとよいでしょう。
| 対策 | 内容 |
| 業務マニュアルの作成 | 請求書の作成や商品の受発注など、定型的な業務は手順をマニュアル化しておくと、家族や協力者に作業を依頼しやすくなります。 |
| 外部委託(アウトソーシング)の活用 | 請求書の作成や商品の受発注など、定型的な業務は手順をマニュアル化しておくと、家族や協力者に作業を依頼しやすくなります。 |
| 同業者との協力体制の構築 | 万が一のときに、一部の業務を代行してもらえるよう、同業者と協力関係を築いておくと心強いでしょう。 |
ご自身が不在でも事業が少しでも回る仕組みがあれば、顧客への影響や売上の減少を最小限に抑えられます。
家族や専門家の助けを借りる
万が一の事態に備え、誰に何を頼るかをあらかじめ決めておくのも有効です。
一人ですべてを抱え込まずに済むよう、周囲の助けを借りる準備をしておきましょう。
事業の内容やお金の流れ、各種契約書の保管場所などを家族と共有しておくと、入院時の手続きなどをスムーズに進めやすくなります。
また、日頃から税理士やファイナンシャル・プランナー(FP)といった専門家と関係を築いておけば、給付金の請求や公的制度の利用について、的確なアドバイスを受けられます。
いざというときの相談先を決めておくだけで、精神的な負担を大きく軽減できるでしょう。
【自営業向け】就業不能保険に入る時のポイント
自営業の人が就業不能保険に入る際は、保険料だけではなく保障内容についても細かくチェックしておきましょう。
・保障金額は生活費を基準に決める
・免責期間が少ない商品を選ぶ
・支払い条件を確認しておく
保障金額は生活費を基準に決める
就業不能保険の保障金額は、働けなくなる前の収入ではなく、最低限の生活費を基準に決めましょう。
自営業の場合、公的保障が手薄であることから、なるべく保障を手厚くしてきたいと思う人が多いかもしれません。
しかし保険金額を高めに設定すると、その分保険料の負担も大きくなってしまいます。
売上を全て埋め合わせるだけの保障金額を設定するのは現実的ではありません。
たとえば毎月の売り上げが100万円で、日々の生活費が30万円の人は、保険金額を20〜30万円程度にしておくことをお勧めします。
事業用のお金の不足については、補助金や融資などを活用しましょう。
免責期間が少ない商品を選ぶ
免責期間とは、保険金を受け取ることができない期間のことです。
自営業の場合は、働けなくなると数日で収入がゼロになるリスクもあるため、免責が少なく、なるべく早めに給付金が受け取れる商品を選びましょう。
支払い条件を確認しておく
就業不能保険の支払い条件は商品によって大きく異なります。
自身のニーズに合った形で給付金を受け取れるか、以下の4点は必ずチェックしておきましょう。
- 保障対象となる病気やケガの種類
- 給付金を受け取れる期間
- 給付金の請求方法
- 精神疾患に対する保障の有無
一度働けなくなると、以前よりも収入が減るケースは少なくありません。
より安心できる保障を準備しておきたい人は、一度就業不能状態に該当すると、保険期間終了までずっと給付金が支払われるタイプの商品を選びましょう。
自営業の人にぴったりの保険を探すなら「みんなの生命保険アドバイザー」に相談してみよう
自営業の人は病気やケガで働けなくなると、公的保障が薄いためすぐに収入が減るリスクがあります。
自営業の人は会社員のように傷病手当金や障害厚生年金などの制度は利用できないため、貯金や保険などを活用し、リスクに対する備えをしておいたほうがよいでしょう。
とくに自営業の人は、就業不能保険や所得補償保険などに加入しておくのがおすすめです。
今回の記事を参考にしながら、自分にぴったりの商品を探してみましょう。
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