この記事の要約はこちら
・生命保険信託を活用することで契約者の保険金を信託会社が代わりに管理してくれる
・生命保険信託は指定した受取人に保険金を分割して渡すことができる
・活用する際は信託報酬などの手数料が発生する
・生命保険信託は、家族に未成年や障害のある人、認知症の人がいる場合に有効
自身の死後、残された家族が生命保険金をきちんと管理できるか心配に感じる人も多いのではないでしょうか。
そのような心配を解消する1つの手段として生命保険信託が挙げられます。
あまり聞き慣れない言葉ですが、上手く活用することで、故人の意向に沿って家族が生命保険金を計画的に使用することが可能です。
この記事では、生命保険信託の基本的な概要とメリット・デメリットについてみていきます。
有効的な活用事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
生命保険信託とは
まずは「生命保険信託」の概要からみていきましょう。
「生命保険信託」とは、万一の事態が発生した際に、保険契約者の代わりに信託銀行などの信託機関が生命保険金を受け取り、それを契約者が生前に定めた意向に従って遺族に支払うサービスです。
信託の基本的な構造は、財産を信託した人を「委託者」と呼び、その財産を管理・運用する人を「受託者」と称します。
受託者は委託者が定めた特定の目的を達成するために信託された財産を管理し、その成果を「受益者」と呼ばれる人に支払います。
これが信託の基本的な構造です。
また、併せて「指図権者」も決めておくと、より安心して利用することができます。
「指図権者」とは、信託財産の管理または処分の方法について指図を行う人のことです。
指図権者が設定されている場合、受託者は指図権者の指示に従って信託財産を管理する必要があります。
家族信託との違い
「生命保険信託」とよく似た言葉で「家族信託」があります。
双方は主に対象となる財産と目的において違いがあります。
生命保険信託は、生命保険金の具体的な配分と使用方法を定めることを目的としているのに対し、家族信託はより広範囲にわたる財産管理と継承に焦点を置いた制度です。
家族信託の場合は家族間で信託契約を締結し、親が自己の財産を子どもなど信頼できる親族に委ねます。
そうすることで、将来的に自己の財産管理が困難になった際に、子どもや家族が代わりに財産の管理や処分を行うことが可能になります。
家族信託は、認知症による資産凍結や、不動産管理といった対策で利用されることが多いです。
生命保険信託の活用事例
では、生命保険信託の主な活用事例を紹介します。
【保険金の受取人が未成年の子どもになってしまうケース】
通常、親が亡くなると保険金の受取人は配偶者または子どもになりますが、受取人が未成年の子どもになるケースも少なくありません。
とくに一人親の場合はこの状況に陥りがちです。
未成年者が大金を一括で受け取ってしまうと、その資金の管理や運用に対して適切な対応が難しくなることが懸念されます。
この問題を解決する有効な手段として生命保険信託が挙げられます。
生命保険信託を活用すれば、保険金を未成年者の成長過程に応じて段階的に支払う計画を立てられます。
たとえば、義務教育期間中は毎月7万円、そこから大学卒業までは毎月10万円を支給するなど、受取人のニーズに合わせて細かく調整することが可能です。
これにより、未成年の受取人が大金を短期間で使い果たしたり、詐欺などで失ったりすることを回避できます。
生命保険信託のメリット
生命保険信託を活用するメリットは主に次の3つです。
・保険金を分割して渡せる
・受取人を指定できる
・生命保険金の非課税枠を活用できる
以下で、順にみていきましょう。
保険金を分割して渡せる
生命保険金の受取りは一括で行われることが一般的です。
しかし、生命保険信託であれば、遺族に分割して渡すことが可能です。
たとえば、親が1,000万円の生命保険に加入し、受取人を子どもに設定したとしましょう。
本来の生命保険の受取り方法では、親が亡くなった際にその全額を子どもが一括で受け取ることになります。
しかし、一括で大金を受け取った場合、適切な資金管理ができなければ短期間で保険金を使い果たしてしまうかもしれません。
生命保険信託を利用することで、親は子どものために教育費や将来の生活費など、特定の用途に合わせて計画的に資金が支払われるよう指定できます。
受取人を指定できる
受取人を指定できる点も生命保険信託のメリットの1つです。
生命保険信託では、指定する受取人を第一受益者、第二受益者というように複数設定することが可能です。
たとえば、夫と妻、息子の3人家族で、夫が生命保険信託を利用した場合でみてみましょう。
この場合、夫は妻を第一受益者として指定し、第二受益者としては息子に設定することができます。
もし、夫が亡くなった際にはまず妻が保険金を受け取ります。
その後、妻が亡くなると残った保険金が息子に渡る仕組みです。
なお、受益者は家族以外の人を設定することも可能であり、事実婚の配偶者や特定の施設など自由に設定できます。
生命保険金の非課税枠を活用できる
生命保険信託は通常の生命保険と同様に非課税枠が設けられています。
非課税枠の限度額は次のとおりです。
【非課税枠】
500万円×法定相続人の数
仮に、法定相続人が配偶者と子どもの2人であれば、非課税枠は1,000万円となります。
もし保険金が1,000万円までであれば、相続税は発生しません。
ただし、非課税枠の適用には、保険金受取人を法定相続人に設定する必要があります。
生命保険信託のデメリット
生命保険信託にはメリットだけではなく、気をつけなければならないデメリットも存在します。
以下で詳しくみていきましょう。
・手数料がかかる
・信託できる保険金額に制限がある
・取り扱っている保険会社が少ない
・目的通りに使用されない可能性がある
手数料がかかる
生命保険信託を利用する際には、信託銀行などに支払う手数料が発生します。
信託契約を締結する金融機関によって手数料は異なり、概ね次のような項目に分けて支払う必要があります。
生命保険信託を活用する際は、これらの費用を考慮する必要があります。
取り扱う信託銀行等で費用が異なるため、事前に手数料を比較検討した上で信託契約を締結しましょう。
信託できる保険金額に制限がある
生命保険信託では、通常、信託できる保険金額に制限が設けられていることが一般的です。
多くの金融機関では、生命保険信託を利用するためには、最低でも1,000万円以上の保険金が必要とされています。
そのため、ある程度高額な生命保険に加入している人でないと、生命保険信託の利用は難しいかもしれません。
取り扱っている保険会社が少ない
生命保険信託を利用するためには、提携している信託銀行または信託株式会社との間で信託契約を締結する必要があります。
しかし、生命保険信託を取り扱う生命保険会社は限られており、すべての生命保険会社がこのサービスを提供しているわけではありません。
また、生命保険信託の取扱いは、商業施設などにある一般の保険代理店では行われていません。
そのため、生命保険信託に関心がある場合は、各生命保険会社の公式ホームページなどを参照し、直接連絡を取る必要があります。
目的通りに使用されない可能性がある
生命保険信託を利用しても、本来の目的通りに財産を使用されないリスクも想定しておく必要があります。
信託銀行から保険金が支払われたあと、受取人が本来の目的に沿って保険金を使用するとは限りません。
たとえば、夫と妻、子どもの3人家族で、夫が生命保険信託を活用し、第一受益者を妻に設定したとしましょう。
この設定では、夫が亡くなった後、妻に対して定期的に一定額の生命保険金が支払われることになります。
しかし、妻がその資金を適切に使用する保証はありません。
浪費してしまう可能性もあるでしょうし、妻が金銭的なトラブルに巻き込まれる可能性もゼロではありません。
そうなれば、本来の目的である生活費や子どもの教育費など、家族のための資金として利用できなくなってしまいます。
生命保険信託はどういった人に向いている?
前述のとおり、生命保険信託は手数料がかかるなどのデメリットがあるため、活用する前に慎重な判断が求められます。
ここからは、生命保険信託がどういった人に向いているかを解説していきます。
・家族に未成年者や障害のある人がいる
・家族に認知症の人がいる
・子どものいない夫婦
・同性のパートナーがいる
家族に未成年者や障害のある人がいる
生命保険信託は、家族に未成年者や障害を持つ人がいる場合に有効です。
生命保険信託を活用することで、保険金を一括で受け取ることによる予期せぬ浪費や、犯罪に巻き込まれるリスクを軽減できるでしょう。
とくに障害を持つ子どもがいる家庭や一人親世帯では、このリスクはより高いものになります。
生命保険信託を利用することで、これらの問題を避けながら、子どもの教育資金や将来の生活支援のために保険金を効果的に活用することが可能です。
家族に認知症の人がいる
生命保険信託は、受益者が認知症になるリスクがある場合にも適した管理方法です。
認知症になると、判断能力や財産管理能力が低下します。
生命保険信託を活用することで、受託者が資産管理を行うため、自ら資産を管理する際に生じるトラブルを防ぐことが可能です。
たとえば、高齢の夫婦で、妻は認知症を患っていたとします。
その際に妻が生命保険金を受け取ったとしても、妻はその財産を適切に管理できません。
このような状況を避けるために、夫は生命保険信託を設定し、信託銀行を受託者として指名します。
この信託設定により、妻に必要な生活費や医療費が定期的に、かつ適切に配分されるようになります。
子どものいない夫婦
子どもがいない夫婦にとっても、生命保険信託の活用は有効的です。
生命保険信託を利用することで、保険契約者は受取人を自由に設定でき、戸籍上の配偶者や近親者以外の人を受取人にすることが可能です。
これにより、契約者が亡くなった後、残された財産が自動的に法定相続人に渡るのではなく、契約者の意志に基づいて、計画的に資産が引き継がれるようになります。
また、生命保険信託は個人だけでなく、NPO法人や学校法人などの公益団体にも資産を寄付する形で利用できます。
そのため、自身の財産が社会貢献や意義ある目的に使われることを望む場合にも役立つでしょう。
同性のパートナーがいる
生命保険の受取人になれるのは、通常、配偶者と2親等以内の血縁者に限られます。
そのため、原則として同性パートナーは生命保険の受取人になることはできません※。
しかし、生命保険信託を活用すれば、受取人を同性パートナーに設定できます。
これにより、法的な制約に左右されず、自身の資産を確実にパートナーに残すことが可能です。
※内縁もしくは事実婚のパートナーであっても生命保険金の受取人に設定できる保険会社も一定数あります。
生命保険信託に関するよくある質問
最後に生命保険信託に関するよくある質問について回答していきます。
現在契約している生命保険で生命保険信託を利用できますか?
現在契約している生命保険が信託銀行と提携していれば、生命保険信託を利用することが可能です。
しかし、提携していない場合は利用できないため、具体的な可否については契約している生命保険会社に直接お問い合わせください。
指定する保険金受取人(受益者)は、誰でもよいのでしょうか?
受益者を指定する際は、提携している生命保険会社や信託銀行の取扱い規定によって左右されます。
多くの場合、委託者の配偶者や近親者が指定されますが、条件によっては事実婚のパートナーや特定の公益法人も受益者として認められることがあります。
受益者の範囲や条件については、生命保険会社や信託銀行に直接確認する必要があります。
生命保険信託の契約はどこでできる?
生命保険信託の契約は、生命保険契約と同時に提携している信託銀行や信託株式会社と契約を結ぶことが一般的です。
ただし、すべての生命保険会社が生命保険信託を取り扱っているわけではありません。
また、商業施設などに店舗を構える保険代理店では、生命保険信託を取り扱っていない点にも注意が必要です。
生命保険に加入する際はFPに相談!
「生命保険信託」とは、万一の事態が発生した際に、保険契約者の代わりに信託銀行などの信託機関が生命保険金を受け取り、それを契約者が生前に定めた意向に従って遺族に支払うサービスです。
生命保険信託を活用することで、「保険金を分割して渡せる」ことや「受取人を指定できる」などのメリットが得られます。
しかし、その一方で利用する際には手数料が発生するなどの注意点もあります。
家族に未成年者や障害者、認知症の人がいる場合には生命保険信託の活用を検討するとよいでしょう。
また、生命保険信託を活用する前に、加入する生命保険の保障額が適切なのかもきちんと確認しておくことが重要です。
適正な保障額の見直しはお金の専門家であるFPに相談することをおすすめします。
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