この記事の要約はこちら
・就業不能保険の支払い条件は厳しめだが、各社によって設定が異なり、支払い条件が良い会社もある。
・就業不能保険を選ぶ際には、支払い条件が出来るだけ広い会社を選ぶべき。
・自営業やフリーランス、子育て中やローン返済中の人、貯蓄が少ない人は就業不能保険が向いている。
就業不能保険は、支払い条件が厳しいと思われがちですが実際はどうなのでしょうか。
この記事では、就業不能保険の支払い条件やその保障内容について詳しく解説しています。
また、就業不能保険を選ぶポイントや加入すべき人の特徴、保険料なども紹介しています。
この記事の目次
就業不能保険の支払条件は厳しい?3つのチェックポイント
就業不能保険は、病気やけがのために仕事ができなくなった場合に生活費を保障する保険です。
加入すると、保険会社所定の就業不能状態になったときに、契約した金額(例えば毎月10万円)を給料代わりに受け取れます。
万が一、働けなくなった場合に備えて、生活費を確保できることは大きな安心につながるでしょう。
しかし、就業不能保険の支払い条件には、一定の基準があります。
というのも給付金を支払うハードルが低すぎると、際限なく支払いをすることになってしまい、保険として機能しなくなってしまうからです。
就業不能保険の支払い条件が厳しいかどうかは、保険会社・商品によって大きく異なります。
実際に就業不能保険で支払い対象になるのはどのようなケースなのか、3つのポイントをチェックしてみましょう。
ポイント①保険会社によって「就業不能状態」の基準は異なる
当たり前ですが、自己都合による就業不能状態(自主退職、転職等)では給付金が支払われることはありません。
さらに、短期で治る見込みがある就業不能状態(軽い病気やケガによる短期入院)でも基本的には、給付金は支払われません。
多くの保険会社が共通している就業不能状態の定義は、以下のようなものです。
- 病気やけがの治療のために病院で継続入院している状態
- 障害等級1級や2級に該当する状態が一定期間継続する場合
上記のように、国の障害等級認定を受けることが基準になるという会社が多いです。
加えて、以下のような状態も就業不能状態とみなすとする会社もあります。
- 医師の指導のもとで在宅で治療に専念している状態
*一部の保険会社では「治療に専念している状態」を「家事労働もできない状態」と定義していることもあります。 - がん・脳卒中・急性心筋梗塞のような三大疾病によって就業不能状態になる場合
続いて、就業不能状態と認定されて給付金を受け取った事例を紹介します。
| 症状 | 経過 | 該当の支払条件 | |
| ケース1 | 物忘れが激しいと配偶者に指摘され、 検査をしたところ血管性の認知症であることが分かった。 |
計270日間入院をした。 | 病気やけが治療のための継続入院 |
| ケース2 | 健康診断で尿糖がプラスとなり投薬治療を開始。 数値悪化、諸症状が強くなりインスリン治療開始 |
糖尿病腎症と診断され、 週3回の人工透析開始 |
障害等級2級に認定されたこと |
| ケース3 | がんに罹患したことで60日以上働けない状態になった。 | がんに罹患 | がんによって就業不能状態になった |
*ケース1 出典:アクサダイレクト公式HP 就業不能保険の給付例 より
*ケース2 出典:チューリッヒ公式HP 就業不能保険 障害等級2級認定事例より
*ケース3 出典:ライフネット生命公式HP 就業不能状態の具体例 より
ポイント②支払い対象外になる疾患もある
冒頭に述べたような事例に加え、疾患で就業ができない状態だったとしても保険で支払いができない場合があります。
以下のような疾患等は、就業不能保険で支払い対象外になる場合があるので注意しましょう。
(1)妊娠・出産
「就業不能保険」ではほとんどの場合、妊娠や出産は支払いの対象外です。
特に自然分娩の場合は、民間の保険会社からの給付金はありません。
ただし、異常分娩の場合や保険会社の条件を満たす場合には、一部の保険会社では支払い対象になる場合もあります。
(2)精神疾患
うつ病などの精神疾患は、就業不能保険の対象外となることが多くなっています。症状の客観的な判断が難しく、回復の定義も曖昧なためです。
患者数の増加やニーズの高まりによって、精神疾患も保障対象とする保険も増えてきましたが、支払い日数が短い、保険金額が少ないといった商品も少なくありません。
検討する際は、保障範囲をよく確認するようにしましょう。
参考:厚生労働省「精神疾患を有する総患者数の推移」P2
ポイント③給付金が支払われない「免責期間」がある
就業不能保険は、働けなくなった場合に備える保険ですが、働けなくなった1日目から給付金が受け取れるわけではありません。
多くの保険会社では、給付金を受け取るためには60日以上働けない状態が続く必要があります。
また、在宅療養の場合は医師の診断書が必要でその条件が細かく設定されている場合もあります。
医療保険では入院1日目から給付金が支払われることが多いのに対し、就業不能保険は支払対象外期間があるため条件が厳しく思う人もいるのではないでしょうか。
この給付金が受け取れない期間を免責期間といいますが、ほとんどの会社で60日となっています。
ただし、保険会社によっては給付金額や条件を絞ったうえで10日以上継続すれば給付金を受け取れたりする場合もあります。
反対に、免責期間をさらに長くとって180日とする設定ができる会社もあります。
免責期間は短ければその分保険料が高くなり、長ければ安くなる傾向があります。
就業不能保険の加入条件は厳しい?
就業不能保険の支払い条件は厳しそうですが、いざというときにお金が受け取れるというのは心強いことです。
では加入するための条件は厳しいのでしょうか。
加入するためには以下について、保険会社に申告する必要があります。
基本的に就業不能保険の加入条件は、一般的な医療保険や生命保険とはさほど変わりません。
健康状態
健康状態によっては、保険に加入できないという場合もあります。
特に就業不能保険は、生存時の保障を提供する保険なので、被保険者の健康状態について厳しいチェックがあります。
過去の病気や健康状態については、保険契約時に告知が必要であり、告知内容によっては給付金金額が制限されることもあります。
保険契約時には、健康状態や過去の病気について正確に告知することが重要です。
告知漏れがあった場合、給付金金額が制限されることがあります。
そうなれば、加入者に不利益が生じるおそれがあることをよく理解しておきましょう。
どのような健康状態であれば加入ができるのかや削減などの措置が無いのかなどは保険会社ごとに異なり、詳細は公開されていません。
加入の際には複数の保険会社を比較検討することが大切です。
なお、一般的な医療保険や死亡保険の場合、持病や既往症がある方でも加入しやすくなっている「引受基準緩和型」保険があります。しかし、引受基準緩和型の就業不能保険を取り扱っている保険会社はほとんどありません。
仕事の種類や年収
契約の引き受けには、年収や職業、既契約状況などによって制限があることがあります。
特に、年収が低い人や定期的な収入がない人は、就業不能保険の加入が制限されることがあります。
職業によっても、リスクが高いとされる職種では加入が難しいことがあります。
例えば、自衛官や警察官、消防官、自営業者でいうと大工さんなどは加入が制限されることがあります。
また、主婦も加入ができない場合があります。
加入時の被保険者の職業や年収によっては、給付金月額等の金額に上限が設定されることがあります。
保険会社によって、給付金は年収の何パーセント程度と規定されており、それを超えた給付金の設定はできない場合があります。
この制限は、就業不能保険が収入の補填をするものであることを考慮して設定されています。
就業不能保険を選ぶときのポイント4つ
就業不能保険を選ぶ時には、どのような点に気をつければよいのでしょうか。
この項では、就業不能保険を選ぶ際のポイントを4つご紹介します。
2.給付金額の設定
3.給付期間や給付回数の規定
4.公的保障を加味して考えること
1.支払い条件
就業不能保険を選ぶ際にポイントとなることの一つは、支払い条件が広いことです。
以下は、支払い条件をあげました。
このチェックに当てはまる数が多いほど条件が良いといえます。
- 在宅療養も条件に入っている
- 三大疾病で就業不能状態になった場合も条件に入っている
- 公的認定以外の自社基準も条件に入っている
- 精神疾患も支払い条件に入っている
- 保障対象外期間が59日以下である
2.給付金額の設定
給付金の金額は、月額5万円程度から1万円単位で設定できる商品が一般的です。
専業主婦(夫)でも加入できる就業不能保険も多数ありますが、加入条件や給付金には年収などの上限が設けられる場合があるので注意が必要です。
給付金額を決める際の基本的な考え方としては、「毎月負担している生活費-公的医療保険等からカバーされる金額」を基準とし、保険料とのバランスを見ながら考えることが重要です。
就業不能保険には、保険料の掛け捨てタイプが一般的です。
そのため、給付金額は過不足なく設定し、無駄な保険料を払わないように注意しましょう。
一部の保険会社では、傷病手当金等の公的医療保険を考慮して、ハーフタイプのプランを提供しており、初年度の給付金額を半額に抑えることができます。
自営業者やフリーランスの場合は、傷病手当金がないため、満額タイプを選択することが推奨されます。
加入前には、自分が利用できる公的保障からの給付や、預貯金の額などを考慮して、必要な給付金額を算出しておくことが大切です。
3.給付期間や回数の規定
就業不能保険を選ぶ時は、給付期間や保険金が受け取れる回数の規定も重要なポイントです。
給付期間が長くなるほど保険料も高くなります。
そのため、必要な期間だけに限って契約することが重要です。
給付期間は保険会社によって異なります。
保険期間内であれば、給付金の支払いがずっと続くタイプや給付期間を限定するタイプもあります。
また、給付期間内に病気やけがが完治して仕事に復帰した場合の取り扱いも保険会社によって扱いが異なります。
復帰後に支払いが打ち切られるタイプや、復帰後も一定期間支払われるタイプがあります。
給付回数は、回数無制限で支払われるタイプと、契約時に決めた回数分しか支払われないタイプがあります。
前者は、働けない期間に備えられる利点がありますが、保険期間の範囲内であることに注意が必要です。
後者は、復職後も一定回数分の支払いがあるため、収入減少に備えられる利点がありますが、療養期間が長期化した場合には不利になる可能性があります。
給付期間はどれくらいで何回支払われるタイプにするかは、ライフスタイルや将来の予定に合わせて選ぶようにしましょう。
4.公的保障を加味して考えること
よくあるのが、公的保障を加味せずに保険を掛け過ぎているケースです。
日本は公的保障が比較的充実しているので、その分を加味して保険金額を設定するようにしましょう。
就業不能保険を検討する場合に、加味すべき公的保障は、傷病手当金と障害年金です。
傷病手当金は、会社員や公務員が業務外の病気や怪我で仕事を休む際に、加入先の健康保険から受け取れる手当です。
支給期間は最大1年6ヶ月で、1日あたりの支給額は、概ね給料の3分の2程度となります。
受給条件は、健康保険に加入しており業務外の病気や怪我で休業し仕事に就けない状態であることです。
条件としては、連続3日間を含む4日以上休業し、かつ、休業期間中に給与が支払われていないことです。
受給条件を満たしている場合は、手続きを行うことで手当を受け取ることができます。
ただし、給与が一部だけ支払われた場合でも、傷病手当金が支給される場合があります。
具体的には、給与が傷病手当金に満たない時には、その差額が支給されます。
障害年金は、病気や怪我によって障害を負った場合に支給される年金のことで、国民年金に加入している場合は「障害基礎年金」、厚生年金の場合は「障害厚生年金」となります。
ただし、受給するには年金の納付要件を満たす必要があり、支給金額は、障害の等級に応じて異なります。
出典:日本年金機構HP 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額 より
障害年金は、受給者が一定の条件を満たすことで支給されます。
就業不能保険を検討する場合には、公的保障でいくら受け取ることができるのかを確認し、不足分だけ民間保険でまかなうようにしましょう。
就業不能保険を検討していて、より詳しく話を聞きたい場合は保険のプロに相談ができる保険相談サービスを活用することをおすすめします。
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就業不能保険に加入すべきなのはどんな人?
前述のように、日本では公的保障が充実しているため、公務員や会社員の方は保険が不要と考える方もいるかもしれません。
しかし、生活の状況によっては会社員や公務員でも就業不能保険が必要な人もいます。
この項では、就業不能保険が向いている人について解説します。
・自営業者やフリーランスなど公的保障が手薄な人
・十分な貯蓄が無い人
・子育てやローン返済中の人
自営業者やフリーランスなど公的保障が手薄な人
自営業者やフリーランスは、会社員や公務員とは異なり、国民健康保険に加入している場合でも傷病手当金の制度がないため、病気やけがで収入が途絶えるリスクが高まります。
また、労災保険にも加入できず、障害基礎年金の認定にも時間がかかります。
このため、自営業者やフリーランスには、収入保障の準備が必要です。
具体的には、個人で医療保険や傷害保険などに加入することや、自己資金によるリスクマネジメントなどが挙げられます。
また、収入が途絶えるリスクを軽減するために、定期的な貯蓄や収入の多角化も重要です。
自営業者やフリーランスにとって、健康管理やリスクマネジメントは自己責任となります。
そのため、定期的な健康診断や保険の見直し、また適切な準備を行うことが必要です。
自営業・フリーランスの方でどういった保険がいいか悩んでいる方はこちらの記事も参考にしてみてください。
個人事業主・フリーランスにおすすめの保険は? 必要性も詳しく解説
十分な貯蓄が無い人
収入が減少したり途絶えることは、誰にでも起こり得ることですが、預貯金が少ない人や全く持っていない人にとっては特にリスクが高いです。
例えば、突然病気になって入院が必要になった場合には、収入が途絶えてしまうため、足りない収入を補填するために貯蓄をキリク薄ことになるからです。
貯蓄が十分にない場合、貯蓄がいつまでもつかわかりません。
貯蓄がなくなってしまえば、治療費や生活費を賄うことができなくなってしまいます。
もし、全てを使い切ることがなかったとしても、貯蓄は病気の為だけではなく、将来に使いたい目的があったもののはずです。
回復しても今度はその目標をあきらめることになってしまいます。
貯蓄に不安があるなら、それを守るためにも就業不能保険を検討する必要があります。
子育てやローン返済中の人
ローン返済中の人が就業不能に陥った場合には、三大疾病特約などの死亡保障以外の特約をつけない限りローンの返済ができなくなってしまうおそれがあります。
そうなると、最終的に自宅を手放さなければならなくなる可能性があります。
特に、三大疾病などが原因で長期に渡り働けなくなった場合は、家族にとっても大きな負担となります。
このようなリスクを回避するために、三大疾病特約などの保障をつけることが考えられますが、保障の対象が広がる分、団信の保険料は高くなります。
住宅ローン以外にも、奨学金や個人向けローンを抱えている方、一人暮らしの方も、生活費だけでなく家賃もかかることを考慮し、就業不能給付金の金額を設定したほうがよいでしょう。
まとめ
この記事では、就業不能保険の支払い条件は厳しいのかや、その保障内容について詳しく解説しています。
また、就業不能保険を選ぶポイントや加入すべき人の特徴、保険料なども紹介しました。
就業不能保険の支払い条件は、ある程度厳しいものです。
しかし、保険の内容をよく見てみれば、条件が易しい保険もあります。
就業不能保険を検討したい方は、保険相談を活用してFPに相談することをおすすめします。
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