この記事の要約はこちら
・返戻率=受け取る保険金の総額÷支払う保険料の総額×100
・学資保険の返戻率は、保険会社と契約する時点で決まっている。
・返戻率は、「予定死亡率」「予定事業費率」「予定利率」を基準に決まる
・返戻率は「特約を最小限に抑える」「こともが生まれてすぐ加入する」「早く払い終える」「遅く受け取る」が重要
・返戻率以外のチェックポイント①受取時期
・返戻率以外のチェックポイント②満期保険金の金額
・返戻率以外のチェックポイント③支払い計画
・返戻率以外のチェックポイント④目的
・返戻率以外のチェックポイント⑤学資保険以外の選択肢
・返戻率はあくまでの学資保険を選ぶ上で重要な指標の1つ
子どもの将来の進学資金を準備する方法としてよく用いられるものの一つに「学資保険」があります。
そんな学資保険は「返戻率」を基準に選ぶとよいと言われています。
「返戻率」が学資保険を選ぶ上で重要な基準の一つであることは確かですが、本当に返戻率だけで学資保険を選んでもよいのでしょうか?
この記事では「そもそも学資保険の返戻率とは何か」「返戻率を高めるにはどうすればよいか」など、学資保険を選ぶうえで重要なポイントを紹介します。
この記事の目次
学資保険の返戻率はどうやって決まる?
学資保険の返戻率はどのように計算され、何によって決定されるのでしょうか。
そもそも返戻率とは?
返戻率とは、支払う保険料に対して、保険金や解約返戻金などがいくら受け取れるのか、その割合を表したものです。
学資保険の場合は、支払う保険料の総額に対して学資金やお祝い金の総額の割合を表したものを指します。
100%超なら総合的にプラスであり、100%未満の場合は払い込んだ保険料を保険金額が下回る、つまり元本割れしていることを意味するのです。
返戻率の具体的な計算方法
学資保険の返戻率は、以下の計算式で算出できます。
【返戻率の計算方法】
返戻率=受け取る保険金の総額÷支払う保険料の総額×100
学資保険は、学資金を数回に分けて受け取る商品も多いため、計算する際は注意しましょう。
たとえば、大学進学後に毎年50万円の学資金が受け取れる保険に加入し、毎月1万5,000円の保険料を10年間支払ったとすると、返戻率は以下の通りです。
保険料支払い総額:1万5,000円×12ヶ月×10年=180万円
学資金総額:50万円×4=200万円
返戻率=200万円÷180万円=約111.1%
学資保険の返戻率は契約時期によって大きく異なる
学資保険の保険料は、保険会社と契約する時点で決まっていて、以下の3つの要素が基準となっています。
| 予定死亡率 | 統計から割り出した契約中に死亡する人の割合。 |
| 予定事業費率 | 保険会社の運営にかかる費用が収入保険料に占める割合。 |
| 予定利率 | 保険料の契約時に約束する利率。 預かった保険料を積み立て運用した場合の収益予測を基に決定される。 |
学資保険の返戻率はこうした外部の影響も受けるため、同一の商品で契約時の子や親の年齢などの条件が同じでも、契約する時期が違うと返戻率が大きく異なることがあるのです。
受け取る学資金が同じであれば、なるべく保険料の安い商品に加入することで、返戻率を高められます。
20年以上前であれば返戻率が110%を超える学資保険は少なくありませんでした。
しかし、現在はマイナス金利が導入されていることもあり、契約者から集める保険料を上げなければ、運営が成り立たない状況になっています。
そのため保険料が高くなり、返戻率は100〜105%前後の商品が多い傾向です。
商品や契約年齢、特約の付帯状況によっては返戻率が100%を割り込む商品もあります。
とはいえ、銀行預金をするよりも貯蓄性が高い点や、契約者である親に万が一があった場合保険料の払込が免除される点など、子どもの教育費用を安全に確保する手段として学資保険はおすすめです。
学資保険の返戻率は契約時点で固定されるため、もし加入した後に利率が改定されたり、販売が中止されたりしたとしても、契約に影響はありません。
自分に合った商品を見つけた場合は、早めに加入を検討することをお勧めします。
学資保険の返戻率を高める5つの方法
同じ学資保険を契約する場合でも、契約内容や契約のタイミング、支払い方法などによって返戻率は変わってきます。
では、返戻率を高くするにはどうすればよいのか、5つの方法を紹介します。
特約は最小限に抑える
学資保険は、基礎となる契約のほか、オプションとして追加できる特約が用意されているのが一般的です。
特約は、多く付加するほど保険料が高くなり返戻率が下がるため、必要なもののみを厳選し契約するようにしましょう。
学資保険の特約としては、自動付帯の「払込免除特約」が代表的です。
契約者が死亡する・高度障害を負うなど一定の状態に陥った際、それ以降の保険料の支払いが不要となります。
万一の際に、確実に学資を確保するために大きな強みとなる特約です。
払込免除特約のほか、契約者の万一の場合に、子どもに年金を支給できる「育英年金特約」や、子どものけがや病気に備える「医療保険特約」なども存在します。
しかし、育英年金特約は、契約者となる親が被保険者の生命保険(死亡保険)で代用することが可能です。
また医療保険特約も、別で子どもを被保険者とする医療保険に加入している場合や、子どもの医療費が助成される自治体に住んでいると、改めて付加する必要はないといえます。
特約の付加を検討するときは、自分の状況や他の保険契約などと照らし合わせたうえで、本当に必要かどうかを判断しましょう。
子どもが小さいうちに学資保険に加入する
子どもが小さいうちに学資保険に加入することで、返戻率を高くすることができます。
学資保険の多くは、加入時の子どもの年齢を6歳から7歳までとし、それ以降の加入となると契約できる学資保険が激減します。
一部10歳まで契約可能な商品など、ある程度年齢を重ねてからも加入できる学資保険も存在しますが、ほとんどのケースで元本割れするため注意が必要です。
返戻率を重視するのであれば、0歳から加入することをおすすめします。
商品によっては妊娠中から加入できるものもありますので、そちらを検討するのもよいでしょう。
保険料を短期間で払い終える
学資保険には、保険料の支払い期間にもいくつかパターンが用意されています。
より短い期間で保険料を払い終えるよう契約すると、その分返戻率が高くなるのが一般的です。
多くの学資保険には、払込期間が11歳まで、15歳まで、18歳までなどと複数のプランが用意されています。
詳細は商品によって異なりますが、2021年現在加入できる学資保険には、払込期間が7年短くなると、2~5%程度返戻率が高くなる商品が多くあります。
また、子どもにかかるお金は中学生以降になると増加する傾向にあります。
比較的お金に余裕のあるうちに保険料を払いきれば、途中で払えなくなるリスクを下げることができるでしょう。
受取時期を遅らせる
学資保険は、受け取り時期を遅らせることでも、返戻率を上げられます。
学資保険は、大学進学費用を目的として保険金をまとめて受け取るタイプと、中学や高校の進学費用も見越して、段階的に祝い金を受け取るタイプに分類できます。
一般的に、大学進学時にまとめて受け取るタイプのほうが、返戻率は高くなりやすいと言われています。
大学の進学費用を目的に学資保険を検討する場合、受取時期を遅らせるのはあまり現実的ではありません。
しかし、何らかの理由でその時期に保険金を受け取る必要がなくなった場合は、満期保険金や祝い金を一定期間据え置くことで、利息を受け取れます。
まとめて保険料を支払う
学資保険の保険料は、一定期間分をまとめて払うことで割引を受けられます。
一般的な月額払いより、半年分や一年分を払った方が、支払い総額が抑えられ返戻率が高くなります。
なお、商品によっては保険料の全額一括払いも可能で、保険料払込免除特約の効果がなくなる分、返戻率が大幅に高くなります。
ただし、その分家計への短期的な影響が大きいため、慎重に検討する必要があります。
返戻率以外で学資保険を選ぶ時に大切なことは?
学資保険を選択するうえで、返戻率は重要ですが、他にも考慮すべき要素は複数存在します。
自分に適した商品を選ぶために、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
・必要な金額を準備できるか?
・支払い計画に無理はないか?
・貯蓄目的か保障目的か?
・保険料払込免除特約は本当に必要か?
学費が必要な時期に受けとれるか?
学資保険を選ぶうえでは、保険金を必要な時期にきちんと受け取れるかは重要なポイントとなります。
というのも、学資保険の受け取りタイミングは一つではないためです。
まず、学資保険のタイプによって、大学入学時の一括受け取りか、段階ごとに祝い金を受け取るかが異なります。
さらに、商品によって17歳の時点で受け取りが可能な場合や、大学入学後も年に1度受け取れるなど、さまざまな受け取りパターンがあります。
たとえば、大学の入学金と1年目の授業料を学資保険で賄うなら、支払い時期より早く受け取り日を設定しなければなりません。
「お金が必要なタイミングで保険金を受け取れるか」「学費の発生するタイミングに合わせた受け取りの設定が可能か」などはしっかりと確認しておきましょう。
必要な金額を準備できるか?
必要な金額を学資保険で賄えるかも、商品選びの重要な基準となります。
必要な費用総額に合わせた保険金額を設定したとき、月の支払いはどの程度になるか確認しておきましょう。
また、忘れがちなのが子どもへの仕送りや教材費など、入学金や授業料とは別に発生する費用です。
どこまで学資保険で用意するかは家庭の方針によって異なりますが「親に何かあっても子の進学と在学中の生活は守りたい」という場合は、仕送りや教材費なども加味した金額の学資保険に加入しておくと安心です。
「我が家の場合はいくら必要なのか」「学資保険以外にどの程度の備えが必要なのか」もあわせてチェックしておきましょう。
支払い計画に無理はないか?
学資保険の支払い計画に無理はないかも、重要なポイントとなります。
たとえば、保険料は年払いや、10歳までなど短期での支払いのほうが、返戻率は上がり総合的にはお得です。
しかし、支払う期間が短いと、毎月の家計の負担が増すため、収支に問題ない範囲で行う必要があります。
また、保険金の受け取り金額を高く設定しすぎるのも、月額保険料が高くなるため注意が必要です。
生活が圧迫されて保険料が払えなくなると「中途解約による元本割れ」「滞納による保険の失効」といった事態を招き、保険料が無駄になりかねません。
長期的な目線を持って、余裕を持って払い続けられるよう金額や期間を決めましょう。
貯蓄目的か保障目的か?
「何のために学資保険を契約するのか」によって、貯蓄型か保障型か、どちらのタイプが適しているか異なります。
そもそも保障をおもな目的として学資保険を選ぶのであれば、返戻率にこだわる必要はないこともあります。
【保障型学資保険】
学資の積み立てに加え、万一の場合の育英年金の受け取りや、病気・ケガに対する医療保障などを受けられる保障の充実したタイプの学資保険です。
一般的に返戻率は100%未満ですが、その反面子どもの成長に伴うリスクは手厚く保障されます。
【貯蓄型学資保険】
学資の積み立てに特化した学資保険。返戻率100%超のものが多く、その分払込免除特約以外の追加保障はないのが一般的です。
2つのタイプのうち、どちらが優れているかは一概にはいえないため、目的に合わせた商品を選ぶ必要があります。
なお、貯蓄型とその他生命保険や医療保険と併用した方が、保障型と比較して総合的な保険料が安くなることもあります。
学資保険のみで考えるのではなく、他の保険商品も含めて比較検討を行うことで、よりあなたの目的に合った商品が見つかるでしょう。
保険料払込免除特約は本当に必要か?
学資保険の強みの一つは、自動付帯している保険料免除特約です。
契約者に万一のことがあると、以降の保険料は免除され、予定通りに保険金を受け取れます。
逆にいうと、保険料払込免除特約に魅力を感じないのであれば、学資保険による積み立て自体が不要かもしれません。
例えば、別途生命保険に加入し、十分な保障を確保できている人や、保険料の一括払いができる人などであれば、保険料免除特約の付いた学資保険で子どもの進学費用を準備する必要性は低いと考えられます。
そのような場合は、学資保険にこだわることなく、より高い運用利回りが期待できるNISAなど他の方法と比較検討してみることをおすすめします。
学資保険は「満期まで支払い続ければ約束していた保険金が確保できる」点で、すぐれた積み立て手段といえます。
一方、中途解約による元本割れや、利回りの低さで投資商品に劣ることがあるというデメリットもあります。
これらを総合的に評価したうえで、家庭ごとの最適な積み立て方法を模索することが大切です。
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学資保険の返戻率は、子や親の年齢、受け取り方、支払い方法などさまざまな条件によって変動するため「高ければ高いほど良い」ともいえません。
戻率のほかに「必要なタイミングで受け取れるのか」「無理なく満期まで支払えるか」「そもそも何のために必要な保険か」といった視点も忘れないようにしましょう。
返戻率は、あくまで学資保険選びの指標の一つと考えてください。
自分に適した学資保険を選ぶには、多くの保険商品を比較・検討する必要があります。
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